本研究計画では、(イ)周波数分解MRIの測定技法を確立する、(ロ)超流動ヘリウム3のテクスチャーとトポロジカルオブジェクトの可視化を行う、(ハ)流れ場の可視化、(ニ)超流動ヘリウム3のテクスチャー内部に現れるトポロジカルオブジェクトの生成と消滅や流れ場等による変形のダイナミクスならびに制御の可能性などについて研究する、という大きな目標を立てた。平成25年度は100ミクロンのギャップを持つ平行平板1枚に閉じ込められた形状の超流動ヘリウムが持つ均一テクスチャーとその中に偶発的に生成されるカイラルドメインウォールからNMR信号を検出するためのサンプルセルを用いて実地テストを行い、2mKに冷却した超流動ヘリウム3から、均一テクスチャーに対応する空間均一な周波数シフトの分布を静磁場の十万分の一の精度で周波数分解MRI測定し可視化することに成功した。非線形磁気応答を示す超流動ヘリウム3からの周波数分解MRI測定の実施は世界初の快挙である。その後、超流動転移温度を高速通過することによりドメインウォールを生成する技術開発を行ない、ドメインウォールからの微弱なNMR信号を検出することで、ドメインウォールが準安定状態として長時間存在しうる事を確認した上で、周波数分解MRI測定によりドメインウォールの空間構造を検出する事を試みた。ドメインウォールそのものの安定化には成功したが、残念ながら測定の分解能不足でクリアに周波数分解MRI画像を取得するにはいたらなかった。
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