研究領域 | 対称性の破れた凝縮系におけるトポロジカル量子現象 |
研究課題/領域番号 |
25103714
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤本 聡 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10263063)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | トポロジカル超伝導 / ベリー位相 / スカーミオン |
研究概要 |
25年度は以下の研究を行った。 (1) トポロジカル超伝導体における動的アクシオンの理論研究...トポロジカル超伝導における動的アクシオン励起がトポロジカルな超伝導秩序変数と自明な超伝導秩序変数との相対位相ゆらぎであることを明らかにし、空間反転対称性のない超伝導体でこれが実現できることを示した。 (2) カイラル超伝導体におけるベリー位相ゆらぎに起因する巨大ネルンスト効果の理論...カイラル超伝導体では超伝導秩序変数が時間反転対称性を破り非自明なベリー位相を伴っている。超伝導転移温度近傍では正常金属相でも超伝導揺らぎが発達し、それが電子状態に劇的な変化をもたらす場合がある。 (3) カイラル磁性体におけるスカーミオンとモノポールのダイナミクスが誘起するトポロジカルな創発的電磁気現象の理論研究...トポロジカルに非自明な磁気テクスチャのダイナミクスが生み出す創発的電磁場に対する電子の応答を調べ、磁気テクスチャの作るモノポールがダイオンとして振る舞うことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
超伝導における動的アクシオンや、ベリー位相ゆらぎ、動的スカーミオンの生み出す創発的電磁気現象等、当該年度は、動的なトポロジカル量子現象について大きく理解を進める研究成果が得られた。これは当初の計画では想定していなかった成果であり、今後、トポロジカル超伝導・超流動におけるマヨラナ・フェルミオンの関与する動的現象の研究へと発展していくことが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
25年度に理解の進んだ動的なトポロジカル現象についての成果を基礎に、これをさらに発展させ、マヨラナ・フェルミオンの操作に伴う動的現象の理解につながる研究を進めていく。この方向性から本課題の重要な目標である、マヨラナ・フェルミオン検出の方法の確立を目指していく。
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