公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
BZ反応場を内包するBZゲルは化学振動反応によって体積変化を起こし、化学エネルギーを仕事(力学的エネルギー)に変換する。その機構を理解することは自律運動する分子ロボティクスを構築する上で非常に重要である。従来のBZ反応の研究は非線形化学反応の観点から研究されてきたが、BZゲルの研究では高分子物理の観点が欠落していたために化学エネルギーを力学的エネルギーに変換する機構を論じることが出来なかった。本研究はここに注目している。平成25年度ではBZゲルの力発生の理論を構築することに主眼を置いて研究を行った。BZ反応では金属触媒の価数が周期的に変化する。価数が変化する金属イオンは高分子鎖および高分子ゲルにとって良溶媒(コイル状態として広がる環境)もしくは貧溶媒(収縮する環境)として作用する。具体的に2価と3価の間で価数が変化するルテニウム(BZ反応でよく用いられる)をビピリジンと作用させて形成される錯体を触媒として用いた場合、2価のときは良溶媒、3価のときは貧溶媒になることがわかっている。共同研究者の原研究員(産総研)はすでに同金属錯体を側鎖にもつBZポリマーおよび同金属錯体を網目構造中に持つBZゲルの構造変化を直接観察している。観測された結果を理解するために、以下のことを行った:まず、BZ反応によって環境が貧溶媒と良溶媒の間を変化するとして扱い、高分子鎖および高分子ゲルの構造変化を1次相転移の自由エネルギー変化に基づいて考察した。さらにBZゲルについては自由エネルギーから体積変化の際に生じる力を理論的に考察した。このようにして実験結果を半定量的に説明する理論的考察が得られた。H25年度では6本の論文(他のソフトマターでの研究成果を含めると合計12本の論文)および研究成果発表5件の成果を得た。
3: やや遅れている
平成25年度では、BZゲルの挙動(膨潤と収縮)を体積相転移とBZ反応を結びつけて議論すること、またその際に発生する力の基礎理論の構築に注力したため、BZゲルの形(境界条件)とBZ反応をカップルさせることで発生すると予想しているBZゲルの運動の可能性を十分に検討することが出来なかった。
現在、BZゲルの形(境界条件)とBZ反応をカップルさせる計算を行っているところである。研究計画の遅れを取り戻したい。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
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