研究概要 |
平成25年度は『双頭核酸ヘッド型両親媒性分子』の化学合成のためのアミダイトユニットの合成が課題であった。目的分子の高脂溶性部分の化学構造は、中央の剛直な脂質部分:1,6-ジアミノ-2,4-ヘキサジインに対し、2つのコレン酸がアミド結合した直線状の分子である。この剛直脂質の類縁体は、すでに報告例があり、①リポソーム膜に対して垂直に配向すること、②2つの剛直分子がリポソーム膜上でside-by-sideに接近可能であること、が示されている。 1,6-ジアミノ-2,4-ヘキサジインの合成は、既存の方法では収率が低かったが、反応条件を検討することで収率を向上できた。トータルの合成収率向上のため、保護基の選択、脱保護条件の検討を行い、従来理論上は33%が最高収率であったステップを、収率62%まで高めることに成功した。目的のアミダイトユニットまでの最終的なトータルイールドは24%、各ステップの平均収率は75%であった。 得られた合成中間体を用いて、DNA固相合成における各種反応条件に対する安定性を調べた。その結果、①酸処理条件、②濃アンモニア条件いずれにおいても、分解は起こらないことがわかった。 現在は、得られたアミダイトユニットを、DNA固相合成に適用し、最終目的物の双頭核酸ヘッド型両親媒性分子の合成を検討している。
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