研究概要 |
本研究が目的とする自律的かつ動的な脂質シグナルを発振する膜系に必要な手法の確立のため、PIP2,PIP3のリン酸化反応を触媒するPI3キナーゼや、PIP3の脱リン酸化反応を触媒するフォフアターゼPTENをアフィニティー精製し、合成された1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリンやPIP2, ホPIP3などの脂質への結合としてその活性を評価した。PVDF膜にPOPC, PI(4,5)P2, PI(3,4,5)P3をスポットさせ、anti-mouse-IgG-HRP抗体による化学発光検出を行った。PH-domain-RFPが結合した脂質スポットはシグナルが検出され,精製したPH-domainのPI(3,4,5)P3への結合を確かめた。また、Phosphatidylcholine (PC)、Phosphatidylserine (PS)、PIP2、PIP3からなるliposome懸濁液を調製し、精製タンパク質を添加後、共焦点顕微鏡にて観察したところ、精製したPH-domainのリポソーム表面への結合も確認できた。ドットブロット分析の結果からPHドメインの種類によっては、PIP3へより強く結合することも示された。また、リポソームアッセイにおいても、これらPHドメイン融合蛋白がPI(4,5)P2、PI(3,4,5)P3を含むリポソームに結合することを確認した。これらの手法をもとに、複合的なドメイン構造を有したプローブを組み合わせた人工回路のため、必要なベクター構築の設計と作成を進めた。
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