公募研究
運動する分子ロボットとして、分子モーター・キネシンによって駆動された微小管運動システム、および温度上昇により相分離する高分子システムをそれぞれ細胞サイズ脂質ベシクルに導入し、システムの動的特性を解析した。膜表面上での微小管の自発運動を実現し、微小管どうしの衝突や進行方向変化などの現象をリアルタイムで観察することに成功した。微小管の移動速度は、過去報告されたガラス基板上のものと近い値を得た。また、ベシクル内に導入した相分離システムは、ブラウン運動がバルクと比較して顕著に上昇する事を発見した。さらに、多数のコンパートメント系を制御するための基盤技術として、膜融合システムの開発を行った。紫外線照射により膜張力が上昇する実験系をデザインし、膜同士の接着、膜孔形成を経た融合プロセスを誘導することに成功した。膜面積変化の測定から、膜表面にかかる自由エネルギーを導出し、融合メカニズムを定式化した。さらに、膜界面ダイナミクスの制御因子として、静電効果に注目した。生体系における細胞内外のイオン環境の変化は、静電的な相互作用として膜の相分離構造に大きな影響を及ぼしていることが考えられる。これまでの人工膜による相分離研究は、主に脂質分子の疎水基(飽和・不飽和等)の違いをベースにした膜システムで行われてきた。これに対して、静電効果は脂質分子の親水基頭部の電荷が重要となる。実験の結果、不飽和脂質への電荷導入は相分離を抑制するのに対し、飽和脂質への電荷導入は相分離を誘起することを見出した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 6件) 産業財産権 (1件)
Langmuir
巻: 31 ページ: 2228-2236
10.1021/la5046805
巻: 30 ページ: 7289-7295
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Chemistry-An Asian Journal
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