リボザイムの分子デバイス素材としての可能性に注目し、少量の入力シグナルを増幅して出力する分子デバイス・コンポーネントの構築を、GIリボザイムのモジュール性と自己スプライシング反応を活用して取り組んだ。増幅モジュール、出力モジュール、入力モジュールについて、それぞれ以下の研究成果を得た。(1)増幅モジュールについては、GIリボザイム(Rz)のP5アクチベータRNA配列をエキソンとして利用した基本回路(二分子スプライシング系)のデザインと作成を行ない、反応で生成したP5-RNAが更なるRz活性化を誘起することを実証した。またH25年度に構築した二つのRNAデバイスを混線させることなく並列に作動させるための相互作用界面を用いた増幅モジュールの構築も行い、同様の作動を確認した。(2)出力モジュールについては、増幅モジュールで生産されたP5アクチベータを感知し、スプライシング反応により蛍光型アプタマーを生産するGIリボザイムをデザインした。具体的には二種類のアウトプット信号としてMGとSpinachの二つの蛍光アプタマーを組み込んだ。生産された蛍光アプタマーを実験的に感知できることを確認した。(3)入力モジュールについては、テオフィリンを感知してアクチベータ型構造へと変換するアロステリックP5アクチベータの分子設計を完了した。以上の成果に加え、GI Rzとは異なるモジュール型Rz(VS Rz)を素子としたリボザイム・デバイス構築を松村茂祥博士(富山大)との共同研究として設計した。
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