平成26年度については,スウォームネットワークによる計算回路構築ならびに非同期セルオートマトンにおけるパターン形成問題に対して研究を展開した. 従来のスウォームネットワークでは,ネットワークを構成する各エージェントに一定方向に対して駆動力を発生させることが必要であったが,本研究ではその制限を撤廃し,各エージェントはブラウン運動に基づくランダムな移動を行うことができるものとした.前年度の研究においては,このネットワークを用いて信号伝達を行うことが可能となっている.今年度の研究においては,非同期論理回路の一つであるブラウン回路の各要素をスウォームネットワークにより模擬することが可能であることを示した.これにより,このスウォームネットワークも計算万能であることを証明することができた.本研究成果については,国際会議AFCAなどにおいて発表し,さらに定義などを厳密化した論文をNew Generation Computing誌に投稿し,掲載が決定している. また,非同期セルオートマトンにおけるパターン形成問題については,ブラウン運動により駆動されるセルオートマトンを対象とした.このセルオートマトンにおいて,セル空間上に配置されたパターンを自分自身により複製する,いわゆる自己複製を行う方法について提案した.パターンは円環状の構造を有しており,自分自身のパターン形状の検査・符号化・ならびに符号化された情報の復号化を行うことができる.また,複製パターン同士が衝突する際におこるデッドロック状態を回避することも可能である.本研究成果については,国際会議AFCAにおいて発表を行った.
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