研究領域 | 感覚と知能を備えた分子ロボットの創成 |
研究課題/領域番号 |
25104524
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
舟橋 啓 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70324548)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生体生命情報学 / モデル化 / システムバイオロジー / 生化学ネットワーク |
研究概要 |
本研究課題のタスクは以下の3点である。 1. 微分方程式の構文解析アルゴリズムを実装し、生化学ネットワークへと対応付ける。 2. 常微分方程式シミュレーションエンジンを実装する。 3. 作成したプログラム群は、生化学ネットワーク解析環境を構築するためのソフトウェアとして単一のアアプリケーションに組み込み Web 上で公開および配布する。 平成25年度は主に上記1.に該当する、微分方程式の構文解析アルゴリズムの実装を行った。生化学反応の種別は 、(1)自己増殖型、(2)酵素反応型、(3)Mass-Action 型に大別でき、また各分子種の役割は 、(a)反応物、(b)生成物、(c)酵素、(d)活性化因子、(e)阻害因子に分類することが可能である。平成25年度はMass-Action Kinetics と呼ばれる、最も基本となる生化学反応方程式から想定される生化学ネットワークの自動構築を行った。 文字列からなる微分方程式を入力とし、構文解析を行うことで抽象構文木(Abstract Syntax Tree: AST)を生成し、ASTに対してMass-Action型であると判定された数式について反応物、生成物を同定し、生化学反応ネットワークへの変換を行った。変換後の生化学ネットワークはグラフとして保存されており、テストケースを用意することでMass-Action型の生化学反応が正しく生化学ネットワークに変換されていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究課題の最大の特徴である、微分方程式をネットワークに変換するアルゴリズムの開発において、まだ Mass-Action型のみではあるが完了し、テストケースを含めた動作確認が完了している。微分方程式を抽象構文木に変換し、その木構造から生化学反応が本来持っている意味を抽出することに成功した。今年度の実績から開発方針の正当性が確認されたことにより、来年度以降の実装方針に大幅な変更はなく、継続してアルゴリズムの開発を進めていけばよいという見通しが立った。現状ではMass-Action型の反応方程式にしか対応していないが、自己増殖型、酵素反応型に対しても同種のアルゴリズムを適応することで対応可能であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は平成25年度に行った微分方程式の構文解析アルゴリズム、及び既存の生化学反応に利用されている反応方程式の検討結果を踏まえ、引き続き構文解析アルゴリズムの実装を進める。構文解析によって作成された生化学ネットワーク (数理モデル) はシステム生物学における標準記述言語であるSBML(Systems Biology Markup Language) で保存することにより、作成された数理モデルの汎用性を高める。平成26年度は、前年度に引き続き数式の構文解析、及びネットワーク構築アルゴリズムの実装を行い、自己増殖型、酵素反応型反応式の構文解析、及びネットワーク構築アルゴリズムの実装、可視化を行う。また、並行してシミュレーションエンジンの実装を行う。
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