研究領域 | 感覚と知能を備えた分子ロボットの創成 |
研究課題/領域番号 |
25104527
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
上野 豊 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (60356558)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 物理シミュレーション / スクリプト言語 / アニメーション / 3次元グラフィックス |
研究概要 |
タンパク質や生体高分子の構造モデルをグラフィカルにわかりやすく表示し、それらの機能する分子メカニズムを例証する分子アニメーション構築支援ソフトウェアを開発する。複数のタンパク質や分子の挙動をスクリプトで記述し、時間軸に沿った表示画面から操作するタイムラインエディタの開発を中心とする。まず既存のソフトウェアを利用する分子アニメーション作成の作業について検証し、新たな開発の要素となる技術を整理した。そしてソフトウェア開発を効率よく進めるため、構築ツールキットLuxiniaを採用した。3次元モデルの編集とグラフィックス表示機能が容易に利用可能で、Open Dynamics Engineを用いた物理シミュレーションの導入も可能なインターフェイスが整備されている。サンプルプログラムが豊富に提供されており、目的の機能に近いソースコードを基に開発することで迅速なプロトタイプ開発が可能である。目的の機能を実現するために、平成26年度に開発する予定であった項目として、(c)疎視化した分子モデルによる分子動力学、(e)ユーザインターフェイスのウィジェット機能強化について先行して開発を進めた。アニメーション例題としては、アクチン・ミオシン相互作用についてのサンプル構築を行った。分子内の構造変化が大きい場合は内部座標を利用した線形補間が化学結合の自然な変化を可能にすることも判明したので、座実現する座標変換プログラムを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソフトウェア開発環境の調査を進めて選定した結果、ソフトウェア構築ツールキットの利用により、従来では大規模かつ複雑で実施が難しかった様な開発も期間内の実施が可能と考えられた。ただし、技術文書の不足等の課題を克服しながら推進する必要があり、注意深い作業が求められている。これまでに開発したプロトタイプソフトウェアはツールキットLuxiniaで動作するGUIアプリケーションである。画面のレイアウトやファイル選択ダイアログ等の基本的は画面を構築した。そしてタイムラインエディタのスクロール機能を含む基本画面も構成することができた。一方で、グラフィックス機能については制約があり、半透明表示ができない等の問題が残っている。各種計算機プログラムの構築技術を基にそれら未踏の問題解決にも挑戦する事は想定した研究活動であり、順調の範囲と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
開発項目(a)原子座標データに基づくモデル更新機能:複数の表示プリミティブを一つの物理演算モデルに対応させるような分子データ構造を完成させる。そのため、原子座標の更新に伴って物理演算モデルを更新させる部分を開発する。あわせて、これまでに開発してきた分子構造表示ソフトウェアMOSBYにおけるタンパク質構造データとの統合を図る。(b)代表モデルによる超分子モデル構築:分子複合体において代表モデルと対称関係にある分子を対称ユニットとして定義し、実態を持たない仮想の分子として表示および操作ができるようにする。近年のアニメーション作成手法として改良が進んだparticle methodの機能がLuxiniaで利用できるため、有効な利用方法を調査して実装を試みる。(d)グラフィックスライブラリの機能強化:分子の表面を描画するモジュールをLuxiniaで利用できるようにする。開発開始時においては、openGLを用いた実装を検討していたが、その代わりにtriangle strip プリミティブの利用が効果的と判明したのでこれを用いるよう変更する。(f)アニメーションシナリオ記述フォーマットの策定:プロトタイプを通じで必要な関数を再検討し、アニメーションを記述するコマンド群を設計する。
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