研究領域 | コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス |
研究課題/領域番号 |
25104718
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
星 健夫 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80272384)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 超並列計算 / 電子状態計算 / 数値線形代数 / クリロフ部分空間 |
研究概要 |
物理・数理・高速計算技術(HPC)の融合研究として、複合数理原理による超大規模(オーダーN)超並列電子状態計算に取り組んでいる。複合数理原理の基盤は、大行列線形計算(特に一般化シフト型線形方程式および一般化固有値方程式)であり、数理系研究者との接点となる。本年度の主な成果は、以下の2点である。(i)光学特性や電気伝導特性の基礎となる内部固有対計算の新しい複合数理原理ソルバーを2種類、開発した。1つは、多重アーノルディ法を基盤とする手法)であり、もう1つはシルベスタ慣性定理を基盤とする手法である。手法は、ナノ構造物質の量子行列(ハミルトニアン行列・重なり行列)における一般化固有値問題でテストされ、有用性が確認された。(ii)多重アーノルディ法を基盤とした超並列計算として、1億原子(100nmスケール)電子状態が、京コンピュータを使って達成された。並列効率(強スケーリング)ベンチマークをおこない、京コンピュータ全体までの計算においても高い並列性能を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(i)内部固有値問題における2種の複合数理原理ソルバーは独立なアイディアであり、該当新学術領域研究者との議論のなかで生まれてきたものである。メニーコアCPUや次世代超並列型スーパーコンピュータへの親和性などを考えると、多様なアルゴリズム研究は欠かせない。当領域ならではの、物理ー数理連携研究の進展と言える。(ii)「京」全体を使った1億原子(100nmスケール)電子状態の高い並列効率は当初予定にはない成果であり、我々の開発してきた大規模線形計算解法(多重アーノルディ法)の有用性を示している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに達成した内部固有対計算アルゴリズムは、まだ発展途中のものであり、アルゴリズムの数理的実用性だけでなく「誰にでも使える」レベルまで引き上げていく。また、アルゴリズム研究だけではなく、ナノ物質系への適用を行い、アルゴリズムの有用性を実証していく。
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