研究領域 | コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス |
研究課題/領域番号 |
25104722
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
山本 貴博 東京理科大学, 工学部, 講師 (30408695)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 熱電変換 / 計算科学 / ナノ材料 |
研究概要 |
廃熱から有用な電気エネルギーを高効率に回収する革新的熱電材料の創製は、エネルギー枯渇や地球温暖化などの環境問題を克服する上で重要であり、この分野においても計算物質科学が果たすべき役割は大きい。本研究では熱電変換シミュレーション技法として「非平衡グリーン関数法+密度汎関数法(NEGF+DFT法)に基づくシミュレーション手法」と「波束ダイナミクス法(WPD)に基づくシミュレーション手法」の開発を進めている。 本年度は、次の2つの研究項目に取り組んだ。 項目1:原子レベルでの熱電変換シミュレーション手法の開発 項目2:電流と熱流の非平衡複合相関現象の解明・予測 項目1としては、NEGF+DFT法に基づくシミュレーション手法を開発し、さらに、WPD法による熱電変換シミュレーション手法の開発を行った。特に、WPD法の開発ではコヒーレント伝導領域に焦点を絞り、非平衡グリーン関数法と比較・検討を行った。項目2としては、項目1で開発したNEGF+DFT法に基づくシミュレータを用いて、ナノカーボン材料の熱電物性を調査し、国内の実験グループと共同で新規熱電デバイスの開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通りにナノ材料の熱電物性シミュレーション研究が進んでいるだけでなく、国内の実験グループとの連携により、シミュレーション結果に基づいて、高純度な半導体カーボンナノチューブ薄膜による熱電素子の開発に世界で始めて成功した。この点は、当初の計画をはるかに上回る進展であった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画書どおり、項目1と項目2に関して次のように研究を推進する。項目1に関しては、量子伝導領域から古典伝導領域までの全領域での熱電変換シミュレーションを実行できるように WPD 法を改良する。また、熱伝導シミュレーションと電気伝導シミュレーションの融合を図り、原子レベルでの熱電変換シミュレーション技術を確立させる。項目2としては、未踏領域である量子-古典クロスオーバー領域での熱電相関現象を解明し、新規な熱電材料の創製を目指す。
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