公募研究
本研究課題は、なるべく物理点に近いクォーク質量領域において大きな空間体積を持った格子QCD計算を行い、ラムダ核子相互作用並びにシグマ核子相互作用の性質を、中心力、テンソル力、スピン軌道力について調べ、そこで得られたポテンシャルを用いて、軽いハイパー核の精密計算を実行し、ストレンジネスを含んだ一般化核力の性質を、これまで以上に定量的に明らかにしていくことを目指すものである。平成26年度は、まず格子QCD計算部分の基本的な数値計算手法の開発を25年度に引き続き行った。具体的には、25年度に開発した、ラムダ核子、シグマ核子系をはじめとする複数の南部-Bethe-Salpeter波動関数を、一度の計算で同時に効率よく計算できる(例えば、クォーク演算子の内部自由度とフェルミ統計性に起因する演算の繰り返しの回数を、unified contraction法よりも数分の一程度に短縮することができる)アルゴリズムを、複数のGPGPUを利用できるように、CUDAを用いて実装することに成功した。すなわち、筑波大学計算科学研究センターの大型計算機であるHA-PACS上でMPI+OpenMPによるハイブリッド並列動作環境に加えてマルチGPUによる計算が可能となった。また、π中間子の質量が約470MeVになるような重いクォーク質量での格子QCD計算によって、偶パリティの中心力およびテンソル力だけでなく、奇パリティ状態のスピン軌道力ポテンシャルが得られている。この格子QCDによる、新たにスピン軌道力を含む核力ポテンシャルを用いた、4核子系の精密計算を確率論的変分法を用いて行うことに成功した。現在の結果はまだ予備的なものであるが、従来の偶パリティ状態の中心力並びにテンソル力のみを用いた場合と比較して、核力ポテンシャルに新たに加えられた部分は弱い斥力的寄与を与えている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Modern Physics E
巻: 23 ページ: 1461006(8pages)
10.1142/S0218301314610060