研究領域 | 実験と観測で解き明かす中性子星の核物質 |
研究課題/領域番号 |
25105508
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木内 建太 京都大学, 基礎物理学研究所, 研究員 (40514196)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中性子星 / 原子核状態方程式 / 重力波 |
研究概要 |
原子核密度を大きく超える状況における強い相互作用は未だに良く分かっていない。これは地上実験で到達できる密度を大きく超えているためである。一方、質量が太陽質量程度で半径が10km程度の極限天体中性子星内部では10の15乗グラム毎立方センチメートル程度の密度状態が実現されていると考えられている。すなわち中性子星の構造や内部状態を観測的に知ることが出来れば、核密度状態方程式に関する知見が得られる。 本研究では将来の重力波観測や電磁波観測から中性子星の質量や半径といった情報を抽出できる可能性を議論する。具体的には中性子星の振動(星震)を調べることで、核密度状態方程式と星震モードの関係を明らかにする。 最近の数値相対論シミュレーションの進展により中性子星の2重連星が合体した後に超巨大質量中性子星と呼ばれる中性子星が過渡的に存在する可能性が極めて高いことが分かってきた。これは中性子星最大質量の下限値が約2太陽質量である事、連星中性子星の総質量が約2.7-2.8倍の太陽質量であるという観測的な事実からの帰結である。この超巨大質量中性子星は高速微分回転かつ高温状態だと考えられる。この星の星振モードは重力波に直接刻印されるため、振動モードを重力波から読み取ることが出来れば、核密度状態方程式の情報を得ることが出来る。しかし、様々な核密度状態方程式や星の回転則、温度分布に対して系統的なサーチは行った研究はない。さらに振動モードの分類もあまり正確でない。 そこで今年度はまず超巨大質量中性子星を高速回転星平衡形状でモデル化する事を試みた。具体的にはシミュレーションから示唆される温度分布と電子存在比の分布を再現するような高速回転星を軸対称の仮定の下で構築した。この結果をまとめた論文は現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(1)超巨大質量中性子星のモデル化、(2)そのモデルを使った動的シミュレーションによる星振モードの分類という2段階に大別される2013年度行った研究では第一段階に関して論文を投稿する段階まで進めた。よっておおむね順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は2013年度に構築した高速回転中性子星の平衡形状を初期条件とした数値相対論シミュレーションを実行する。具体的には重力場の時間発展を解かないCowling近似と呼ばれる方法を採用し、相対論的流体シミュレーションを行う。初期摂動に対する応答を調べることで星震モードを分類する。様々なモデルに対し星震モードを分類することで星震モードとと核密度状態方程式の関係性をカタログ化する。
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