研究領域 | 実験と観測で解き明かす中性子星の核物質 |
研究課題/領域番号 |
25105514
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岡田 信二 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 協力研究員 (70391901)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 超伝導検出器 / マイクロカロリメータ / X線分光 / エキゾチック原子 / K中間子 / π中間子 / J-PARC / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
近年急速な発展を遂げてる高分解能X線検出器「超伝導遷移端(TES)マイクロカロリメータ」及びその多素子読み出し技術を、K中間子原子X線分光実験に導入し、K中間子-原子核間の強い相互作用ポテンシャルの深さに関する長年の謎の解明を目指す。本検出器は、荷電粒子ビーム環境下での動作実績がないため、実際の実験条件に近い環境における基本性能評価は不可欠である。本研究では、本計画の実現可能性を示すべく、ビーム環境下におけるTES型マイクロカロリメータの基本性能評価を目的とする。 本年度は、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)のTES開発チームとの連携協力関係を築き、ビーム試験を行うための準備を行った。NISTが開発した多ピクセル時分割SQUID読み出し式のTESスペクトロメータを採用し、ビーム試験に先立ち、NIST現地(米国コロラド州ボルダー)のラボにて基本性能評価試験を実施した。これにより、X線発生装置と金属箔を用いたエネルギー較正方法を確立し、エネルギー分解能・時間分解能・エネルギー線型性測定から、本実験遂行に充分な性能を持つことを確認した。一方、パイ中間子ビームを用いた検出器性能評価の実験提案書を、スイス連邦共和国ポールシェラー研究所(PSI)に提出し受理された。ビーム試験は、2014年秋に実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビーム試験の実験施設として、当初J-PARCを予定していたが、ハドロン施設事故の影響で復旧が不透明であると判明したため、急遽代わりとなる海外施設の検討を行い、PSI研究所パイ中間子ビームラインでの実施を決定した。本年度の目標 (1)無ビーム時におけるTES検出器の基本性能評価試験、(2)来年度のビームタイム確保、を達成できたため、おおむね順調に進展したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、ビーム試験に使用するTESスペクトロメータ・実験標的・ビームライン検出器群・データ収集系を整備し、PSI研究所のパイ中間子ビームを用いてハドロンビーム環境下における本検出器の基本性能評価実験を実施する。 TESスペクトロメータ実機の整備・動作試験は、NIST現地(米国コロラド州ボルダー)にて、NISTの共同研究者、及び、来年度から頭脳循環プログラムを通してNISTへ派遣する若手研究者との連携を密にして進める。一方、実験標的・ビームライン検出器群・データ収集系の整備および動作試験は、日本(KEKおよび理化学研究所)において行う。PSIにおけるビーム試験は、2014年10月末を予定している。データ取得後は、NISTの研究者と連携し、順次データ解析を進める。
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