研究領域 | 実験と観測で解き明かす中性子星の核物質 |
研究課題/領域番号 |
25105515
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
銭廣 十三 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 研究員 (70529057)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 実験核物理 / 中性子星 / 非対称核物質状態方程式 / アイソスピン / 大強度重イオンビーム / 不安定核 / 逆運動学陽子弾性散乱 / 陽子・中性子密度分布 |
研究概要 |
1.当該年度はまず、理研RIBFで初めて、大強度不安定核炭素16ビームによる逆運動学陽子弾性散乱測定を行いこれに成功した。各検出器が適切に働き、その結果励起エネルギー分解能で500keV(rms)を達成し、広い角度領域(重心系で10度から35度程度)の弾性散乱微分断面積を測定することができた。これにより我々の開発している測定装置の性能が示され、今後RIBFで実験を行う上での最適化を行うことが出来た。現在このデータの解析をすすめている。 2.さらに、既にRIBFにおいて採択されている、より重い不安定核である錫132での陽子弾性散乱実験を行うために欠かせない開発の内、高い強度の重イオンビームの飛跡を測定するのに欠かせない新しい検出器である多芯線ガス検出器及び検出器動作用の真空チェンバーの作成及び開発を始めた。この検出器はより狭い芯線間隔(2.5mm)を持ち高いビーム強度に対応するようデザインされている。また、これを年末にかけて製作し、検出器のエイジングや密封線源による信号読み出しテスト等を行い期待通りの動作が確認され始めている。 3.この検出器やその他の開発中の検出器を原子番号が50以上と非常に大きなXe重イオンビームを用いてその性能をテストするため、放射線医学総合研究所のHIMACでの共同利用研究に実験を提案し、この申請が認められた。この実験では2種類のエネルギー(200, 300MeV/A)のXeビームと、さらにそこから作られる2次ビームを用いて思い核種での位置及び角度分解能や検出効率を測定する実験である。さらに平成26年度の7月にこの実験を行う予定である。 4.本研究に関する成果発表を国内外の研究会で行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画として挙げた2つの目標の内 1.RIBFで初めての不安定核陽子弾性散乱実験を成功させた。大強度の軽い不安定核ビームを用いた初めての実験であり、高精度の散乱実験をRIBFで実現したことは非常に大きな意味を持つ。 2.新しい位置検出器である大強度重イオンビーム用の多芯線ドリフト検出器の作成を行った。密封線源による動作テストを行い正常に動作することを確認した。また、放射線医学総合研究所のHIMAC施設での大強度Xe重イオンビームを用いた実験を提案しこれが採択された。実験も平成26年度に実施することが決まっている。 以上から、実験自体を25年度に行うことはなかったが、ほぼ計画通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き作成した検出器のテストを行い、さらに実際の重イオンビームを用いた測定を千葉の放射線医学総合研究所にあるHIMACにて行う計画をしている。これにより大強度の重い重イオンビームに対する新しい検出器の耐久性や性能を確認しする。その後RIBFへの設置をし、大強度の錫132ビームによる陽子弾性散乱実験の実現を目指す。
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