研究概要 |
平成25年度は、MPC1001の合成に備えて、アリル位ヒドロキシ基を有さないMPC1001Bの合成を目指して合成研究を行なった。その結果、大環状ラクトンの構築に成功し、従来の硫黄官能基の導入法を用いることで、MPC1001Bの全合成を達成した。類縁化合物には見られない2級アルコールの導入については、対応する化合物に対して直接C-H酸化も検討したが、望みの成績体は得られなかった。今後は、MPC1001類の網羅的合成を指向して、合成終盤におけるアリル位酸化反応を検討する。さらに、類似の構造を有するジチオジケトピペラジン天然物の合成にも展開可能な、ジケトピペラジンの新規酸化反応の開発を目指す。 アコニチンアルカロイドについては、これまでに構築したタラチサミンおよびアコニチンの右部主炭素骨格に対して、ヒドロキシル基を足がかりとした1,2-ジオールもしくは1,3-ジオールを与える条件を検討した。すなわち、既存の反応を参考にしながら、単純なモデル化合物に対してアルコールにピリジル基やアミノキノリンなどのテザーを導入したのち、PdやIrなどをはじめとする遷移金属触媒を用いて、変換反応を検討した。現時点では、目覚ましい成果は得られていないが、次年度も引き続き検討を行う。また、窒素原子を含む左部セグメントについても合成研究を行なっており、次年度は全炭素骨格の構築を目指すとともに、酸素官能基の導入を行う。
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