研究実績の概要 |
平成26年度は、すでに全合成を達成したMPC1001Bの合成経路および反応条件の最適化を行うとともに、MPC1001BからMPC1001への変換について、既知のC-H酸化反応を含めて検討を行った。すなわち、MPC1001 に含まれるジヒドロオキセピン上のヒドロキシ基の導入について、合成終盤におけるアリル位酸化を検討した。その結果、二酸化セレンを用いた場合に、ジスルフィド結合がほぼ保持され、最終段階における酸化剤として有用であることがわかった。 タラチサミンおよびアコニチンの有する左部含窒素構造の構築を検討した。従来、多段階を必要としていた含窒素環状構造の構築について、短工程化を目的として各変換について検討した。その結果、ラジカル的連続反応を見出し、酸化的炭素炭素結合の形成に成功した。本反応を見出したことで、今後、これらアルカロイド類の右部の合成研究が円滑に行われると考えている。 また、複雑な縮環インドール骨格を有するアルカロイド、ペニトレム類の合成研究にも取り組んだ結果、パラジウム触媒を用いたC-H活性化(Catellani反応)を用いて、インドール4,5位に6員環炭素骨格を一挙に導入することに成功した。本変換により、その後の合成研究に必要な化合物を十分に供給することができた。最終的に、(2+2)環化付加反応を経て、ペニトレム類に共通するシクロブタン環を構築し、ペニトレムEの左側部分構造の合成に成功した。
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