研究領域 | 直截的物質変換をめざした分子活性化法の開発 |
研究課題/領域番号 |
25105708
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
網井 秀樹 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (00284084)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フッ素 / 不活性結合活性化 / クロスカップリング / 銅 / β-炭素脱離 / フッ素官能基 / 有機フッ素化合物 |
研究実績の概要 |
有機フッ素化合物は,医薬,農薬,液晶材料,高分子材料など様々な産業分野において利用されている。最近,芳香族化合物へのフルオロ基,およびトリフロオロメチル基の導入反応が大きな注目を浴びている。ハロゲン化芳香族化合物を用いるクロスカップリング法は,位置選択的に芳香環に含フッ素官能基が導入できる点で有用である。 私たちはβ-炭素脱離反応の実用的反応への展開を目指し,入手容易なトリフルオロ酢酸エステルから誘導できるカルビノール誘導体を用いて,触媒的芳香族トリフルオロメチル化クロスカップリングを検討した。本反応系では,カルビノール誘導体からアセトフェノンの脱離を伴いながら,トリフルオロメチル基導入クロスカップリング反応が進行した。本反応については触媒サイクル機構で反応が進行するため,少量の銅錯体の使用により反応が完結する。今回のカルビノール誘導体を使用する反応については,私たちが以前報告したフルオラール誘導体を用いる芳香族トリフルオロメチル化反応よりも,思いの外,反応効率が悪いことがわかった。β-炭素脱離クロスカップリング反応について,トリフルオロメチル基以外のフルオロアルキル基の導入の可能性を調査した。例えば,ペンタフルオロエチル基(C2F5)の芳香環への導入反応については,化学量論量の銅反応剤の利用,生成物の収率の低さ(銅錯体の触媒量利用時),β-フッ素脱離の併発などの問題点を有する。ペンタフルオロプロピオン酸エチルから合成したシリルエーテルを用いて,β-炭素脱離クロスカップリング反応を実施したところ,高収率で目的の生成物が得られた。本反応系は,基質に対し少量の銅錯体の利用で反応が進行し,芳香環上に電子供与性置換基(Bu, OEt)を有する基質に対しても適用が可能であるといった特徴を有する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、β-炭素脱離によるクロスカップリングが順調に進展しており。本手法により、入手容易な化合物を用いてトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基の有機化合物への導入が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、炭素-炭素結合活性化反応の適用基質を、芳香族化合物のみならず、脂肪族化合物にも拡げて研究を進めたい。
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