公募研究
本研究では、かさ高いチオラートをテザー型に配位させ、外部基質と反応し易いようRu-S部位を配置するとともに硫黄原子が金属を架橋することを抑制した、配位不飽和なカチオン性ルテニウム錯体を用い、そのRu-S部位による結合活性化(ヘテロリシス)反応を、分子変換反応へと応用した。(1) エーテル類のC-O結合切断反応Et2OあるいはTHFにルテニウム錯体を溶解させ、そこへEt3SiHを加えたところ、溶媒のC-O結合を切断してRu-H/S-C結合を持つ錯体が生成した。この反応に基づいて、さらに触媒的なC-O結合切断反応への展開を試みた。Et2Oを溶媒兼試薬として用い、シラン類に対して触媒量(2 mol%)のルテニウム錯体を溶解させ、HSiMe2Phを加えて90 °Cで12時間撹拌したところ、NMR収率80 %でEtOSiMe2Phが生成した。このとき、HSiMe2Phは99%以上転化されていることも確認した。(2) 芳香環C-H結合の分子内シリル化によるジベンゾシロールの合成Ru-H/S-Si結合を持つ錯体をシリルカチオン等価体と見なした、Friedel-Crafts型の脱水素カップリング反応は、インドール等の電子リッチなへテロ芳香環でなければ進行しないが、分子内反応であれば、ベンゼン環でも進行することを見出した。ルテニウム錯体(2 mol%)存在下、HSiMe2(biphenyl)を加え80 °Cで12時間反応させると、ジベンゾシロールが生成することが、NMRおよび質量分析から明らかになった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Inorg. Chem.
巻: 53 ページ: 5438-5446
10.1021/ic4030603
巻: 53 ページ: 4000-4009
10.1021/ic402890k
http://inorg.chem.nagoya-u.ac.jp/members/ohki/ohki-j-frame.html