研究領域 | 直截的物質変換をめざした分子活性化法の開発 |
研究課題/領域番号 |
25105740
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河内 敦 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70260619)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 典型元素化学 / 合成化学 / 構造化学 / 有機ホウ素化学 |
研究概要 |
(1)本研究課題において前駆体となるビフェニル(ヒドロ)ボランおよびフェニル(ジヒドロ)ボランの合成を検討した。その結果,中程度の収率でこれらを合成することができた。また,赤外分光法により,これらのヒドロボラン類が,四中心二電子結合により二量体を形成することを明らかにした。 (2)これらのビフェニル(ヒドロ)ボランおよびフェニル(ジヒドロ)ボランをトルエンまたはキシレン還流下で加熱すると,B-H/C-H脱水素化による環化反応が進行し,ジベンゾボロール型分子が生成することを見出した。また,そのピリジン付加体の単離および結晶構造解析に成功し,分子構造を明らかにすることができた。 (3)このB-H/C-H脱水素化による環化反応が,四中心遷移状態を経由する協奏反応であることをDFT計算により明らかにした。この反応は,ボロールによる水素分子の活性化の逆反応とみなすことができるため,その観点から反応経路と遷移状態における電子構造を詳細に調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)前駆体となるビフェニル(ヒドロ)ボランおよびフェニル(ジヒドロ)ボランの合成収率は中程度に留まっている。 (2)生成するヒドロボラン類の二量化を抑制することができていない。 (3)B-H/C-H脱水素環化反応を達成することができた。 (4)DFT計算により,遷移状態の探索に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)前駆体となるビフェニル(ヒドロ)ボランおよびフェニル(ジヒドロ)ボランの合成収率は中程度に留まっている。より効率的な合成法と単離方法をさらに検討する。 (2)ヒドロボラン類の二量化を抑制するような立体保護基の探索をおこなう。 (3)B-H/C-H脱水素化環化反応における溶媒の種類,温度等の条件等を最適化していく。
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