研究領域 | 直截的物質変換をめざした分子活性化法の開発 |
研究課題/領域番号 |
25105741
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
水田 勉 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70221603)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | CO2の還元反応 / 多核錯体 / リン多座配位子 / ボラン還元 |
研究概要 |
CO2の還元反応は、現在盛んに研究されているが、そのほとんどはギ酸までにとどまっており、ギ酸をさらに還元しメタノールに変換できる系は限られている。通常還元には、金属ヒドリド種が用いられる。本プロジェクトでは、複数の金属ヒドリド種が1つのCO2分子と相互作用できる反応場を構築することによって、CO2をメタノールあるいはその等価体へ誘導することを目指した。目的の反応場を実現するためには、複数の金属活性中心を集積できる配位子が必要である。 1.C字型4座リン配位子による多核反応場構築 大環状4座リン配位子に比べて配位子骨格の立体的自由度を高めることを目的として、C字型の4座配位子を新たに合成した。フェロセンで2重に架橋した2座リン配位子に対して、rigidなジベンゾフランを骨格としたモノホスフィンアームを結合させ4座配位子を得た。この配位子の錯体形成能を調べるため、Ag(I)をプローブとして錯体合成を行ったところ、大環状配位子の場合と同様に内部空間に複数の金属を取り込んだ錯体を生成することが、X線解析により明らかとなった。新たに合成したC字型の4座配位子は、高い立体的自由度をもち、金属間の距離を反応基質に併せてフィットせることが可能と期待される。 2.BH3.THFを用いたCO2の高効率還元 金属錯体触媒を用いてBH3.THFを還元剤としてCO2をメトキシ化合物へ誘導する反応を開発する過程で、金属触媒の代わりに0.5mol%程度のNaBH4を用いても高収率でCO2とBH3.THFを(CH3OBO)3へ誘導できることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトでは、複数の金属ヒドリド種が1つのCO2分子と相互作用できる反応場を構築することによって、CO2をメタノールあるいはその等価体へ誘導することを目指した。通常の還元では、ギ酸で還元が留まってしまうが、研究の結果、NaBH4を添加することによってメトキシ化合物であるトリメトキシボロキシン(CH3OBO)3へ誘導できることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
1.C字型4座リン配位子による多核反応場構築 新たに合成したC字型の4座配位子は、高い立体的自由度をもち、金属間の距離を反応基質に併せてフィットせることが可能と期待されるので、これを用いたCO2の触媒的還元反応を行う。 2.BH3.THFを用いたCO2の高効率還元 BH3.THFを還元剤としてCO2をを(CH3OBO)3へ誘導できることを見出した。この反応では、CO2と当量のBH3が必要であるので、生じるホウ酸エステルから、メタノールを分離するとともに、ホウ酸誘導体からBH3を再生させる方法を検討する
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