• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

高原子価鉄錯体の構築を基軸とする不活性結合活性化

公募研究

研究領域直截的物質変換をめざした分子活性化法の開発
研究課題/領域番号 25105743
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関九州大学

研究代表者

砂田 祐輔  九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (70403988)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード鉄 / 高原子価 / 不活性結合活性化 / 配位不飽和
研究概要

遷移金属錯体を用いた不活性な結合の直接的官能基化の開発は、究極的な直截的物質変換を可能とするため現在最も注目され、その開発・確立が望まれている課題の一つである。本研究課題では、地殻中に豊富に存在するため入手容易で安価であり、かつ環境への負荷の少ない鉄に注目し、不活性な結合を活性化しうる鉄錯体の精密設計・合成・応用を目的としている。特に、鉄中心に強く電子供与するため高反応性錯体を与え、かつ高原子価状態を安定化しうるキレート型ケイ素配位子に着目し、これを有する高反応性鉄錯体の構築と、C-H結合をはじめとする不活性結合活性化への展開を行っている。
本年度は、1,2-bis(dimethylsilyl)benzeneをキレート型ケイ素配位子として持つ高反応性鉄(II)錯体を用いることで、pyrazolyl基やpyridyl基を配向基として有するareneのオルト位C-H結合アルキル化、アルケニル化が可能であることを見出した。この反応では、キレート型ケイ素配位子を鉄上に導入することで、areneのC-H結合の酸化的付加により生成する高原子価鉄(IV)錯体の構築が可能となることが鍵であると考えられる。また、同様の鉄錯体は高効率的にSi-H結合を活性化しうることを見出し、これを応用することでindole類の3位選択的C-H結合シリル化が触媒的に達成できることも見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究において、高原子価錯体を安定化しうる機能を有するキレート型ケイ素配位子を持つ鉄錯体を用いることで、配向基を持つareneの不活性C-H結合官能基化が可能であることを見出した。この形式の反応は、鉄と同族のルテニウム錯体を用いた例は数多く報告されているが、鉄錯体による例はほとんどなく、精緻に設計された鉄錯体を用いることで初めて実現できたものである。さらに、このareneのC-H結合官能基化に加えて、indoleのC-H結合官能基化も同様の鉄錯体を用いることで達成できることも併せて見出している。このように、キレート型ケイ素配位子を鉄錯体へ導入することで、高原子価中間体の安定化を鍵とする多様な結合活性化が可能な高反応性鉄錯体を構築できることを明らかにすることができ、研究は概ね順調に進んでいると言うことができる。

今後の研究の推進方策

これまで得られた成果を基に、まずはareneのC-H結合官能基化、およびindoleの3位選択的C-H結合シリル化の基質適用範囲の拡大を目指す。鉄錯体を用いた配向基を持つareneのC-H結合官能基化については、現在のところ化学量論反応にとどまっている。そこで、重水素化された反応基質の適用などによる反応機構解析を行うことで、より高効率的な反応への応用展開を目指す。併せてindole類のC-H結合官能基化においては、様々な置換基を持つ誘導体や、indole以外の類縁体を用いた反応への適用を目指す。一連の検討において、必要に応じて、キレート型ケイ素配位子および鉄錯体の構造・電子状態の精密設計を併せて検討する。特に、反応達成の鍵となる高原子価鉄錯体の安定化を効果的に行うため、高い電子供与性を示す配位子の導入などを検討する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Catalyst design for iron-promoted reductions: an iron disilyl-dicarbonyl complex bearing weakly coordinating η2-(H-Si) moieties2013

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Sunada, Hironori Tsutsumi, Keisuke Shigeta, Ryota Yoshida, Toru Hashimoto, Hideo Nagashima
    • 雑誌名

      Dalton. Trans

      巻: 42 ページ: 16687-16692

    • DOI

      10.1039/c3dt52598h

    • 査読あり
  • [学会発表] ジシラメタラサイクル骨格を有する新規ルテニウム錯体の開発と触媒作用2014

    • 著者名/発表者名
      大串 元・砂田 祐輔・永島 英夫
    • 学会等名
      日本化学会第94春季年会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20140328-20140328
  • [学会発表] ジシラメタラサイクル骨格の構築を鍵とする特異な触媒機能・構造を有する錯体の開発2014

    • 著者名/発表者名
      砂田祐輔
    • 学会等名
      日本化学会第94春季年会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20140327-20140327
    • 招待講演
  • [学会発表] 高活性鉄カルボニル触媒による還元反応の開発2013

    • 著者名/発表者名
      砂田祐輔,堤大典,橋本徹,副島廣恵,永島英夫
    • 学会等名
      第39回反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20131105-20131105
  • [学会発表] Development of Active Iron Carbonyl Complexes and Their Applications to Catalysis2013

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Sunada
    • 学会等名
      The 3rd International Symposium on Molecular Activation
    • 発表場所
      Steamboat Springs, Colorado, USA
    • 年月日
      20130727-20130727
    • 招待講演
  • [図書] "Iron-promoted Reduction Reactions" In The Chemistry of Organoiron Compounds,2013

    • 著者名/発表者名
      Hideo, Nagashima; Yusuke, Sunada; Takashi, Nishikata; Arada, Chaiyanurakkul
    • 総ページ数
      53
    • 出版者
      John Wiley & Sons, Ltd

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi