研究領域 | 直截的物質変換をめざした分子活性化法の開発 |
研究課題/領域番号 |
25105745
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
竹本 真 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20347511)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | メタロカルベン / カルベン錯体 / カルベン配位子 / カーバイド錯体 / ルテニウム錯体 / 有機金属錯体 / イミド錯体 / メチリジン錯体 |
研究概要 |
カルベンは一般式CX2で表わされる中性の2価炭素種であり、その高い反応性から有機合成における重要な活性種として注目されてきた。特に、N-ヘテロサイクリックカルベンに代表されるヘテロ原子置換カルベンは、遷移金属錯体触媒の配位子および有機分子触媒としての性質が近年活発に研究されている。我々は、2つのRuユニットを置換基とするカルベン(ジルテノカルベン)を部分構造として含む異種3核Ru2Ptカーバイド錯体の発見を契機に、反応活性種としてのメタロカルベンの創出に取り組んできた。昨年度までの研究により、2核Ruイミド・メチリジン錯体[(Cp*Ru)2(μ-NPh)(μ-CH)]BF4 (1)の低温での脱プロトン化と引き続く各種試薬による捕捉反応により、メタロカルベン2が生成することを示唆する結果を得ている。本年度は、13C NMRによるジルテノカルベン2の観測に成功するとともに、2を活性種とする様々な分子の活性化が可能であることを明らかにした。さらに、新規なジルテノカルベンの前駆体となることが期待されるホスフィド架橋2核ルテニウムメチリジン錯体の合成にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、遷移金属ユニットを置換基とする新規なカルベンであるメタロカルベンを研究対象とし、(1)その合成方法の開発、(2)反応活性種としての性質の解明および(3)メタロカルベンを活性種とする新規な触媒的分子活性化法の開発を目的とした2年間の研究である。1年目の本年度において(1)と(2)を達成していることから研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに合成方法を確立したメタロカルベンの触媒反応への応用について検討を行う。特に、触媒の配位子として多くの反応に利用されているN-ヘテロサイクリックカルベンのかわりにメタロカルベンを用いることで、メタロカルベンの特長を明らかにし、その特長を活かした新規な触媒反応の開発を目指す。
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