公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
独立点集合の遷移問題に関しては,真区間グラフやキャタピラーと呼ばれる構造をもつグラフに対して,多項式時間で解けることを示した.この問題は平面グラフに対してPSPACE困難であることが知られており,グラフ構造を利用して計算容易性を示したことは意義深い.さらに,解空間の直径が,これらのグラフに対しては多項式長であることも示した.特に,真区間グラフについては,最短の遷移経路が求められることを示しており,単に解空間の直径を評価するよりも,強い結果を与えている.これらの研究成果は論文にまとめ,現在,国際会議への投稿を進めている.また,これらの研究の過程において,独立点集合の遷移問題の固定パラメータ容易性(FPT)について研究を大幅に進めることができた.本研究では,解サイズのみをパラメータとした場合,一般のグラフに対してW[1]困難であることを示した.これは,FPTアルゴリズムが一般のグラフに対しては存在しそうにないことを意味する.一方で,解サイズとグラフの最大次数の2つをパラメータとした場合には,任意のグラフに対してFPTアルゴリズムを与えた.これらの研究成果は,国際会議TAMC 2014に採択が決まっている.点彩色の遷移問題に関しては,平面グラフに対してPSPACE完全であることが知られていたが,本研究では,よりグラフの構造を限定したとしてもPSPACE完全のままであると予想している.証明のアイディアは固まりつつあり,来年度は証明を完成させたい.
2: おおむね順調に進展している
独立点集合の遷移問題に関しては,グラフ構造を利用した様々なアルゴリズムが構成できている.さらに,固定パラメータ容易性の観点から,アルゴリズム開発ができている.点彩色の遷移問題に関しては,主に計算困難性をグラフクラスの観点から解析しており,グラフ構造と計算困難性の関係は解析されつつある.
独立点集合の遷移問題は,グラフクラスに基づく厳密解法・計算困難性の解明だけでなく,固定パラメータ容易性についてもグラフクラスに基づく解析を進めたい.とりわけ,平面グラフに着目し,研究を進めたい.一方,点彩色の遷移問題に関しては,Bonsmaによって新たに開発された動的計画法の手法が適用できないか解析を行い,この問題のグラフクラスに基づく計算容易性を示したい.
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Theoretical Computer Science
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