公募研究
ペプチドの自己組織化過程や集合様式は、pHや温度など様々な外部刺激により変化する。基板表面における自己組織化では、これらの外的要因に加え、基板表面との相互作用がペプチドの集合様式に大きな影響を与える。最近我々は、正および負に荷電した側鎖をβシートの上下面に分離して配置した電荷分離型ペプチドβシートを報告した。本研究では、電荷分離型ペプチドβシートのマイカ基板表面への吸着特性について検討した。その結果、異なる共溶媒条件において、基板表面へのペプチドβシートの吸着様式が大きく異なることを見出した。正および負電荷を帯びやすいアミノ酸であるリシン(K)、グルタミン酸(E)と、無極性アミノ酸であるバリン(V)を組み合わせて合成した電荷分離型ペプチドβシート: Fmoc-EVVKVをペプチド固相合成法により合成した。生成物を再沈殿法により精製した後、MALDI-TOF MSおよび分析HPLCにより同定した。合成したFmocペンタペプチドのメタノール溶液を準備し、水を加えてメタノール/水共溶媒(0.5 mM)を作製した。この溶液を25 ℃で12時間インキュベートした後、マイカ基板上に滴下し、原子間力顕微鏡を用いて基板表面における集合形態を観測した。MeOH/H2O = 9/1ペプチド溶液からは針状のペプチド集合体が、MeOH/H2O = 7/3ペプチド溶液では、マイカ表面の結晶方位に沿って配向したペプチド集合体の形成が観測された。また、MeOH/H2O = 5/5のペプチド溶液においては、ペプチドが二次元的に集合し、マイカ表面に対して配向して吸着していることが明らかになった。一方、MeOH/H2O = 3/7や1/9のペプチド溶液においては、マイカ基板上にアイランドを形成した。アイランドの高さが1.0-1.5 nmであることから、1分子層でペプチド集合体が形成していると考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.ims.tsukuba.ac.jp/~yamamoto_lab/Homepage_Japanese/toppu.html