研究領域 | 人工光合成による太陽光エネルギーの物質変換:実用化に向けての異分野融合 |
研究課題/領域番号 |
25107510
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂本 良太 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80453843)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノシート / ナノワイヤ / 人工光合成 / ジピリン / 金属錯体 |
研究実績の概要 |
励起子を一方向に効率よく伝達するジピリン金属錯体ナノワイヤの構築を目指し、その最小構成となる亜鉛二核錯体の合成に成功した。本二核錯体は1つのアントラセン、3つのジピリン、1つのπ拡張ジピリンユニットから構成され、これらが2つの亜鉛イオンで連結されている構造を有する。これらの色素部位は励起エネルギー順に並び、350-650 nmの波長の紫外~可視光を効率的に捕集する。また、アントラセン末端からπ拡張ジピリン末端へと、光励起エネルギー勾配にしたがい、励起子を効率100%で伝達することを見出した。したがってこの二核錯体、およびこれを延伸したナノワイヤは人工光合成の光捕集系として有望である。本研究内容をChemical Communications誌に投稿し、受理された。 ジピリン金属錯体ナノシートについては、大面積ナノシートが界面合成法を用いることで簡便に作成できる予備知見を得た。加えて、亜鉛を中心金属とするものについて、予備的ではあるものの、光電変換特性を示すことを見出した。次年度はこの光電変換機能の更なる追究を行う予定である。 研究期間を延長し、光電変換特性の向上を見込み、ナノシートの積層技術の確立を行った。単原子層ナノシートを繰り返し積層することで、1-7層のナノシート積層体を、石英基板の上に作成することに成功した。定量的な積層は紫外可視吸収分光における、π-π*吸収帯に関する吸光度の線形増加から判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
二核錯体を合成することで、ナノワイヤの将来性を実証した。また、ナノシートの光電変換材料への応用可能性を示すことにも成功した。人工光合成系への応用も十分可能である。
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今後の研究の推進方策 |
ジピリン金属錯体ナノワイヤについては、マイクロメーターサイズに達するような、長大な高分子の合成に取り組む。ジピリン金属錯体ナノシートについては、光電変換材料としての有用性を実証する。
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