研究領域 | 人工光合成による太陽光エネルギーの物質変換:実用化に向けての異分野融合 |
研究課題/領域番号 |
25107515
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 寿雄 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (80273267)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 光触媒 / 人工光合成 / 二酸化炭素 |
研究概要 |
環境・資源の観点から,二酸化炭素を有用な化学物質に変換できる人工光合成は重要である.申請者らは銀添加酸化ガリウムを用いて水を電子源とした二酸化炭素の光触媒還元反応において,一酸化炭素と水素と酸素に変換することに成功した.さらなる高効率化のための作業仮説として,半導体の光励起により結晶内部に生成する励起電子と正孔がそれぞれにある特定面に向かい移動すれば再結合が抑制され, 還元・酸化反応の反応場が物理的に分離されていれば逆反応も抑制でき,それぞれの場に適した助触媒が選択的に添加されていればさらに高効率に反応が進行すると考えた.そこで表面が特定の結晶面で構成され酸化面・還元面を明白に区別できる高品質な微結晶を合成し,それぞれに適した助触媒を添加した高度に構造制御された光触媒を設計することを目的として,形状制御された単結晶合成に使われる溶融塩法を応用した方法で,チタン酸ナトリウムやチタン酸カリウム,チタン酸カルシウムを合成した.その結果,条件を選べば,チタン酸ナトリウムやチタン酸カリウムでは六角柱状結晶,チタン酸カルシウムでは多面体結晶といったように,それぞれに目的のような形状制御された微結晶を得ることができた.これらの半導体光触媒に銀助触媒を添加し,微結晶や助触媒の状態と光触媒活性を比較検討し,構造活性相関に関する知見を得た.特に,微結晶の表面構造は,銀助触媒の安定性に関与し,長時間の触媒活性の維持に役立つことが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画したとおり,溶融塩法を応用した合成方法で,形状制御された微結晶光触媒を得ることに成功し,構造と光触媒活性との相関は整理されつつあるため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,光触媒の合成のパラメータをさらに検討し高活性化めざしつつ,構造活性相関をさらに整理する.また,表面修飾による塩基性の付与なども試みる.
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