研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
25107704
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関野 徹 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (20226658)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノ材料 / 自己組織化 / 表面・界面物性 / 低次元ナノ構造 / 生体材料 / 吸着 / 融合マテリアル / 高次機能 |
研究概要 |
低次元構造を持つ酸化物ナノマテリアルはその物性と構造の協奏的相関により多彩な機能を示す。本研究では低次元酸化物ナノ構造を多様な基材表面へ自己組織化的に直接形成させると共に多様な物質と構造融合化を図ることで、優れた環境適合性、エネルギー創製機能や生体適合性などの高次機能性ナノ表面を有する融合マテリアルの構築を目的とし、平成25年度は計画に基づいた研究を行い以下の知見を得た。 金属Tiおよび合金を1~15MのNaOH及びKOH水溶液中、室温から110℃程度までの低温で処理することでナノシート・ナノチューブを骨格としたポーラスナノネットワーク構造をこれら基材表面へ形成した。室温などの低温でTi表面に形成したナノネットワーク表面を持つ試料では未処理Ti表面に比較して細胞増殖性が向上すると共に、ナノレベル足場構造に対応して細胞接着性も向上するなど、本プロセス・材料の優位性を確認した。 ナノ表面への骨形成主要元素であるリン酸およびカルシウムイオンの吸着能を評価した結果、比較的高い温度で処理し、ナノチューブ構造を主構造としたナノネットワーク表面で高い事を見いだした。 本材料の骨格をなす構造のひとつであるチタニアナノチューブについて有機分子吸着能を調べ、構造特異性に加え、静電的効果に基づいて向上すること、共存元素にも依存して変化すること、光化学反応性にも寄与することを見いだし、材料の特徴と優位性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主眼である低温溶液化学プロセスに基づく材料合成およびそのチューニングについては順調に進み、予定していた生体適合性機能のひとつである無機イオン吸着能やその機構、更には有機物質との相互作用についても検証することができ、特に後者では共存元素が及ぼす影響など、当所予測とは異なる新たな知見を得ることが出来た。 一方で、本研究を実施する主要設備のある建物が本年度後半に耐震改修工事が行われ(10月~3月上旬)、この間一部の実験室ならびに装置移動、装置稼働停止が行われたことから、一部実験(電気的な補償によるプロセスならびにナノ構造表面形成への効果)が充分に遂行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は本研究の最終年度であることから、これまで見いだしたナノポーラス表面構造の融合機能評価として光化学機能性の検証を継続し、ナノ構造酸化物およびそれから構築されるナノポーラス表面の融合機能に立脚した環境・生体適合性共生のための指針構築を行う。 更には、低次元ナノ構造酸化物およびそれを基礎としたナノ構造表面について、多様な有機分子、タンパク質および無機化合物(HApなど)との融合マテリアルの創製、構造評価と機能・機構検証についても行う。 特に界面表面・分子レベルでの融合構造を構築するため、低次元ナノ構造体の表面への配向構造制御プロセスの構築に加え、ナノ酸化物自体の構造修飾法(無機イオン修飾・有機修飾)の検討と検証を進め、これら結果とこれまでの成果を総括する。
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