高分子単分子膜中の分子パッキングを明らかにするために、polystyrene-b-poly(methyl methacrylate)-b-polystyrene(PS-b-PMMA-b-PS)を少量PMMA単分子膜に可溶化させた単分子膜を作成し、両端のPSブロックが親水基を持たないため粒子状に凝集することを用いて鎖末端間距離を測定することを目的として研究を進めている。平成25年度は、ガラス転移温度の差により、可溶化したPMMA鎖が観察できることがわかっているpoly(n-nonyl acrylate)(PNA)を用いてブロック鎖が分散できる条件を検討した。本年度は、その条件を用いて、マトリックスをPMMAに変更し、可溶化したPS-b-PMMA-b-PSの鎖末端間距離の測定を行った。測定の結果、可溶化したPMMAブロック鎖の鎖末端間距離は、PNA、PMMAマトリックスともほぼ同一であり、2次元の理想鎖に予想される鎖末端間距離の2.5倍であり、従来の予想に反し、2次元膜中で分子鎖は大きく広がり、他の分子と強く相互侵入していることが明らかになった。
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