本年度は、両親媒性オリゴシロキサンの自己集合によるメソ構造体形成と非極性溶媒中への分散に基づく、直径数ナノメートルの有機修飾型シリカ粒子の新しい合成ルートを開拓した。粒径や粒子表面を分子レベルで設計することが可能であり、さらに内部へのゲスト分子の取り込みが可能であるというユニークな特徴を持つ。研究代表者らは過去に、長鎖アルキル基を有するオリゴシロキサンの加水分解・縮重合過程での自己集合によって、ラメラ、二次元ヘキサゴナル、キュービック/テトラゴナルなど様々な無機-有機ハイブリッドメソ構造体が得られることを報告してきた。今回、逆ミセル型のメソ構造体形成を目指し、鎖状オリゴシロキサンにかさ高い有機基が結合した分子を新たに設計した。THF溶媒中、塩酸酸性条件下で加水分解した後の溶液をガラス基板上にキャストすると、溶媒の揮発に伴って自己集合が起こり、分子がシロキサン鎖を内側、アルキル鎖を外側にして逆ミセル状の粒子を形成し、それらが最密充填したメソ構造体が形成された。このメソ構造体はヘキサン中に溶解(分散)し、アルキル鎖を外側に向けたナノ粒子の分散液が得られた。さらに、自己集合過程で親水性の色素分子を共存させることによって、粒子内部に色素が取り込まれることが示唆された。粒子内部への様々なゲスト種の取り込みや、粒子表面の有機基を多様に変化させられる可能性があり、バイオイメージングやDDSなどへの応用が期待される。 また、共同研究成果として、ユニークな形状を有するチタニアやシリカナノ粒子の合成や、球状シリカナノ粒子の自己集合によるリング状集合体の合成にも成功している。
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