研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
25107717
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
東口 顕士 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90376583)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 構造色 / マイクロカプセル |
研究概要 |
マイクロカプセルは直径数μm~数百μm程度の球殻構造体である。球殻を数百nm膜厚のポリスチレンで構成したものはシャボン玉と同様に薄膜干渉で構造色を示すため構造色バルーンと呼ばれる。この構造色バルーンに関して、ポリマー膜を介したバルーン内外の溶媒移動によって粒径や膜厚を制御し構造色を変化させられること、光架橋性高分子を用いて構造色の変化を光制御出来ることなどを以前の研究により確認している。 イオン液体性ポリマーを用いた構造色バルーンを得たが、屈折率変化のためのイオン交換が不可逆であったためその手法は断念した。代わりにポリビニルピリジンで酸性条件でのアニオン導入と塩基性条件でのアニオン放出、またそれに伴う構造色変化を確認した。この時に取り込むアニオンの種類と構造色変化の関係を検討中であるが、目的としていた屈折率の可逆変化に伴う構造色の変化と推定している。また年度内に完了しなかったが、ブロックコポリマーを材料とした構造色バルーンの調製条件を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度中にブロックコポリマーを材料とした構造色バルーンを調製するところまで計画していたが、現在はまだ条件検討中である。 当初イオン液体性ポリマーを用いて同じ検討を行っていたが、イオン交換に可逆性が無く別の材料を検討するのに時間が掛かった。
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今後の研究の推進方策 |
1.ポリマー膜のカウンターアニオンの交換による屈折率変化と、それに伴う構造色変化:ポリビニルピリジンを球殻部位に有する構造色バルーンにおいて、酸性条件でのアニオン導入と塩基性条件でのアニオン放出、またそれに伴う構造色変化を確認した。この時に取り込むアニオンの種類と構造色変化の関係が屈折率の可逆変化に伴うものと推定しており、その検討を進める予定である。また金属錯体が形成されることも利用し、不可逆であっても大きな屈折率の変化や架橋による剛直性変化などを検討する。 2.ポリマー膜のミクロ相分離を用いた構造体の形成:1.に関連して、ピリジン部位に錯形成能があることを利用し、ポリビニルピリジン膜中に金属イオンを還元することでナノ構造体を構築する。イオン透過性の高い場所(カチオン側鎖)がチャネルのように形成されている場合、その領域においてカウンターアニオンの存在量も増大し、結果として還元剤テトラヒロドボレートの輸送が可能になると期待される。これを踏まえ、塩化金酸を用いたマイクロカプセル球殻部での直接Auナノ粒子形成を検討する。現在スチレン・ビニルピリジン系ブロックコポリマーのRAFT重合法についての検討を行っており、本年度もこの方向性で検討を進める。 3.親水性Auナノ粒子の親水性ポリマーへの埋め込みと機能発現:Auナノコロイドのうち、特にロッドやプリズムは異方性の形状を有し、近赤外域の吸収を有するだけでなく、それに伴う増強電場が粒子近傍に形成される。加えて、複数のナノ粒子が nmオーダーの空間を隔てた近傍にある場合には、特に強い電場増強とそれに伴う非線形光学現象がよく知られている。Auナノロッド・ナノプリズム埋め込みマイクロカプセルを用いることで、Auナノ粒子間隔を制御可能な光応答性反応場を三次元的に構築出来ると期待される。
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