研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
25107720
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
中嶋 琢也 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (70379543)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 複合材料 / ナノ粒子 / イオン液体 / 自己組織化 |
研究概要 |
金属・半導体ナノ粒子はナノサイズ特有の物性を示す。さらに、ナノ物質-ソフトマテリアルの融合により材料特性の向上のみならず、各々の材料単体では得られない融合マテリアル特有の光・電子・磁気特性の発現が期待される。本研究課題では、イオン液体の自己組織化特性に着目し、イオン液体-ナノ粒子双方が高秩序に配列した融合マテリアルの構築を目指す。平成25年度は、イオン液体表面を有する金属・半導体ナノ結晶を合成し、融合マテリアル中におけるイオン液体のナノ粒子溶媒和と溶媒和力に基づくナノ粒子間自己集合について評価した。 カチオン性表面を有する半導体CdTeナノ結晶を合成し、イオン液体と種々の濃度で複合化し、イオン液体特有の溶媒和ならびに、溶媒和力に基づくナノ粒子相互作用を見出した。 DSC測定から、わずかなナノ粒子添加により、イオン液体バルク層の大部分をナノ粒子の溶媒和圏に取り込むことが示唆された。一方、ナノ粒子間の粒子間相関を評価するため、SAXS測定を行った。低い空間占有率にも関わらず、ナノ粒子の束縛が起こり、低秩序に配列することが見出された。小角X線散乱から見積もられるナノ粒子間距離はナノ粒子のランダム分散を想定した平均距離よりも短距離であり、イオン液体中で親和的な相互作用が働いていることが示唆された。すなわち、ナノ粒子のイオン液体への導入により、ナノ粒子表面近傍においてイオン液体のアニオン種の秩序配列が起こり、それをトリガーとした数イオン対層の溶媒和構造が形成される。ナノ粒子の濃度が上昇するにつれ、溶媒和イオン液体間での相互作用(振動力)が働き、その結果、低秩序ながらもナノ粒子の配列が起こる。水中では長距離で働くクーロン相互作用が無視できるイオン液体中において、ナノ粒子の溶媒和圏を捕えることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノ粒子-イオン液体融合マテリアルの構造評価について、これまでにない、極めて重要な知見を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ナノ粒子-イオン液体融合マテリアルのX線小角散乱による詳細な評価を進める。また、ナノ粒子について、ナノロッドなどの形状へと拡張し、形状に依存した自己組織化特性について評価する。さらに、共同研究についても積極的に進め、材料提供を実施する予定である。
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