研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
25107723
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高口 豊 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (10293482)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | カーボンナノチューブ / フラーレン / ナノハイブリッド / 光触媒 / 水素 / 光電変換 |
研究概要 |
単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)は、高い電気・熱伝導性をはじめとする多彩な機能を持つことが知られているが、分散性・混和性が低く他材料との融合が困難な点が材料応用の妨げになっていた。本研究では、デンドリマーの界面制御機能を利用することで、SWCNTsと様々な無機材料とのハイブリッド化を可能とするとともに、得られる階層構造に由来する機能を明らかとすることを目的としている。これまでの成果に基づき、平成25年度は、(1)SWCNTをコアに持つ同軸ケーブル構造のシェル部化学修飾による光触媒機能の向上、(2)ナノ同軸ケーブル構造を持つ融合マテリアルの光誘起電子移動におけるSWCNTコアの役割と材料設計指針の提案、(3)新たなナノカーボン融合マテリアル合成法の開発、の3点について検討を行った。具体的には、フラロデンドロンを利用したナノカーボン界面修飾法を用いCaCO3やSiO2といった無機材料とSWCNTsとのハイブリッド化を可能とするとともに、得られる融合マテリアルの持つ同軸構造を有する光機能界面が光電変換機能や光触媒機能発現に有効であることを明らかとした。さらに、コアのSWCNTsの直径分布の違いが光触媒機能に与える影響について蛍光寿命測定から詳細に検討することで、直径の太いSWCNTsが光触媒機能向上に有用であることを明らかとするとともに、シェル部への白金錯体導入による高効率光触媒の開発に成功した。また、これまで報告例のないテンプレートを用いないSnO2マクロ孔配列の作製に成功し、ナノカーボン材料とSnO2とのハイブリッド材料の形態制御を環境調和型のプロセスで行うことを可能にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では,ナノカーボン融合マテリアルをデンドリマー型置換基を利用して合成し,その光機能を調べることで融合マテリアルの優位性を確かめたいという目的であったが,実際に検討をした結果,目的通りのナノ同軸ケーブル構造を持つ融合マテリアルを合成できただけでなく,その構造により,世界的に見てもトップレベルの機能性発現を可能にすることが明らかとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
独自に見出した融合マテリアル合成法を用い,ナノカーボン材料,および,無機材料,そして,それらを結びつけるデンドリマーの分子デザインについての検討を進めることで,光機能性融合マテリアル合成のための新しい「分子技術」を確立することを目指す。
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