研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
25107724
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
重永 章 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (10423394)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 合成化学 / ペプチド / タンパク質 / ケージド化合物 / 非水解性リン酸化アミノ酸 |
研究概要 |
本提案研究では、紫外線照射をトリガーとしてバイオミネラリゼーションを誘起するケージドタンパク質の創製を目的とする。ケージド~とは紫外線照射により~を放出する前駆体と定義する。本研究ではケージドアミノ酸大量供給経路および新規タンパク質化学合成法を確立した後、これらを基盤としたケージドタンパク質完全化学合成法を構築する。あわせて発現タンパク質のケージド化についても検討する。さらにケージドタンパク質を用い、紫外線照射によるバイオミネラリゼーションの時空間的制御に挑戦する。 申請者は今年度、下記順に従って本研究を進めることとした。A)ケージドアミノ酸の大量合成:昨年度までの「融合マテリアル」での成果を基に、側鎖酸性官能基上へ紫外線照射により除去可能な保護基を導入したケージドアミノ酸の大量合成経路を構築する;B)新規タンパク質化学合成法の開発:申請者らの開発したタンパク質化学合成法を発展させ、複数のペプチドフラグメントをワンポットにて望む順に縮合させるワンポット-マルチフラグメント縮合法を開発する;C)ケージドタンパク質の化学合成:A)より得られるケージドアミノ酸を含むタンパク質の合成について、 B)にて開発する方法論を駆使して挑戦する。 この結果、ケージ非水解性リン酸化セリン、トレオニンおよびチロシンの開発に成功するとともに、これらのペプチドへの導入法を確立し、さらに本ペプチドが紫外線照射によりリン酸化ペプチド模倣体を放出することを明らかにした。さらに、タンパク質完全化学合成法の確立を目指し、162残基からなるタンパク質の完全化学合成に成功するとともに、本タンパク質が天然物同様の活性を示すことを証明した。現在、これらを合わせたケージドタンパク質の完全化学合成について検討するとともに、さらに効率的なタンパク質化学合成法の開発を行っている状況にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は下記A-Cについて検討を行った。 A)ケージドアミノ酸の大量合成:昨年度までの「融合マテリアル」での成果を基に、側鎖酸性官能基上へ紫外線照射により除去可能な保護基を導入したケージドアミノ酸の大量合成経路を構築する;B)新規タンパク質化学合成法の開発:申請者らの開発したタンパク質化学合成法を発展させ、複数のペプチドフラグメントをワンポットにて望む順に縮合させるワンポット-マルチフラグメント縮合法を開発する;C)ケージドタンパク質の化学合成:A)より得られるケージドアミノ酸を含むタンパク質の合成について、 B)にて開発する方法論を駆使して挑戦する。 この結果、ケージド非水解性リン酸化セリン、トレオニンおよびチロシンの開発に成功し、これらのペプチドへの導入法を確立するとともに、得られたケージドペプチドが紫外線照射によりリン酸化ペプチド模倣体を放出することを明らかにした。さらに申請者らの開発したペプチドフラグメント縮合法を駆使し、162残基からなるタンパク質の完全化学合成を達成した。またこれら研究を通しケージドタンパク質完全化学合成の際の課題も明らかとなってきたことから現在、新たなタンパク質合成法を模索しているところである。 以上の理由から本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの達成度」の欄にて述べたとおり、ケージドタンパク質の完全化学合成には2つの課題があることが明らかとなった。すなわちペプチド固相合成により調製可能なフラグメント鎖長は最長50残基程度であることから、巨大タンパク質の化学合成では多数のフラグメントの縮合が必要となり煩雑であること、およびあるアミノ酸部位ではペプチドフラグメント縮合が困難であることの2点である。 そこで今後は、これら課題を解決するための新たな化学合成法を開発するとともに、発現タンパク質のケージド化についてもあわせて検討する。その後、これら研究より得られるケージドタンパク質を用い、バイオミネラリゼーションの時空間的制御に挑戦する計画である。
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