研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
25107732
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
酒井 秀樹 東京理科大学, 理工学部, 教授 (80277285)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | チタニア / イオン液体 / ゾルゲル反応 / 光触媒 / 融合材料 / シリカ / 中空粒子 / 界面活性剤 |
研究概要 |
1)水を溶解させたイオン液体/油相界面でのゾル・ゲル反応による、シート状・ワイヤー状チタニアの調製とその形成機構 これまでに、イオン液体に溶解させた水と油溶性チタニア前駆体との反応によりシート状・ワイヤー状のチタニアの調製に成功している。ここで、イオン液体に非イオン界面活性剤を添加しない場合はシート状チタニアが、添加した場合はワイヤー状チタニアが得られる。そこで、本年度は、シート状、ワイヤー状チタニアの生成機構の解析を行うとともに、増感色素との複合化によるナノロール型融合マテリアルの調製を行った。その結果、チタニア前駆体の加水分解反応により生じた中間体がイオン液体と複合体を形成し、これが自己組織化することによりラメラ状の構造を形成し、二次元的にゾルゲル反応が進行するためにシート状チタニアが得られること、ならびに、シート状チタニアの表面に吸着した界面活性剤分子間にはたらく疎媒性相互作用によりシートがスクロールすることによりワイヤー状チタニアが生じるものと考察した。また、ワイヤー状チタニア形成時に、両親媒性色素を共存させることにより、色素をワイヤー状構造の内部に内包することができた。 2)アンモニア塩基性水溶液/油相界面でのゾル・ゲル反応による、pHや攪拌力に依存した種々のナノ形態のシリカ粒子調製 本研究では、界面活性剤水溶液中でのケイ素アルコキシドのゾル・ゲル反応を、アンモニア弱塩基性(pH11.0付近)で行うことにより、系に加える界面活性剤の分子構造や攪拌速度、温度に依存して、ナノサイズのシリカ中空粒子やシリカチューブ、シリカナノロッドを高収率で調製することに成功した。特に、反応の途中でpHを塩基性から中性へと変更することにより、凝集のない高分散なシリカ中空粒子を得る事ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
チタニア系については、年度当初の目標としていた、イオン液体中でのシート状チタニア、ワイヤー状チタニアの形成メカニズムについて明らかにできたこと、また、色素を内部に取り込んだワイヤー状チタニアを形成できたことから、目的をほぼ達成できたと考えている。 シリカ系については、シリカナノ中空粒子、シリカチューブ、メソポーラスシリカロッドなどの作り分けに成功し、さらにpHの精密制御によりシリカナノ中空粒子の分散性の向上を達成できたことから、おおむね順調に進展していると判断できる。シリカ中空粒子については、反射防止フィルムとしての特性評価には至らなかったので、来年度は応用評価に力を入れる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
チタニア系については、引き続き色素を内部に取り込んだワイヤー状チタニアの調製条件の最適化を図りたい。その後、シート状チタニア、ワイヤー状チタニアの紫外光照射下で光触媒活性、ならびに色素内包ワイヤー状チタニアの可視光照射下での光触媒活性評価を行いたい。さらに、チタニア以外の金属酸化物(ジルコニア、アルミナ)からなるシート、ワイヤーの調製も行う予定である。 シリカ系については、ベシクルを鋳型としたソフトテンプレート法による高分散性のシリカ中空粒子の調製が可能となったので、その塗膜化ならびに反射防止特性の評価を実施する。また、高分散性シリカ中空粒子の中性子捕捉療法用薬剤キャリアーとしての応用についても共同研究により推進したい。
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