研究概要 |
金などの金属は、ナノサイズになるとバルク状態とは著しく異なった性質を示す。さらに、金ナノ粒子 (AuNP) 等のナノ金属を規則的に配列・組織化することで、その光学的性質などを制御した新しい機能材料が創出できる。本研究では、DNAの自己組織化能を利用したナノ構造体とAuNP等のナノメタルとを融合し、新規な機能を発現するナノ材料を構築することを目指している。 DNAナノテクノロジーにおける構造構築手法として、DNAオリガミ法が注目されている。特に我々は、DNAオリガミ手法を用いて、動的に形状が変化するナノ構造体として、DNAペンチ(DNA pliers)の作成に成功した。これは標的分子との相互作用により、Cross, Anti-parallel, parallelという三形態の変化が誘起されるペンチ状DNAオリガミ構造体であり、我々はその形態変化の制御と原子間力顕微鏡(AFM)による検出を報告した。さらに本研究では、DNAペンチのレバー部分に複数個のAuNPを位置選択的な固定化を行った。このシステムでは、標的分子の認識によるDNAペンチの形態変化がAuNPの間隔変化を誘起し、分光学的に標的分子を検出するシステムになると期待される。 また我々は、中空の6面体構造を持つ DNAオリガミ構造体であるDNA Boxの作成にも成功している。DNA Boxは、Joint DNAを加えることにより、オープンモチーフ (OM) からクローズドモチーフ (CM) への構造変化を誘起できる。そこで、このDNA Boxをナノコンテナとして活用することを意図して、DNA Box の内部にAuNPを6個結合したDNA Boxを作成した。このシステムは、密集したAuNPによる高感度イメージングのためのナノデバイスとしての利用が期待される。
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