研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
25107736
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
川野 竜司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (90401702)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2015-03-31
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キーワード | MEMS / 脂質二分子膜 / マイクロ流路 |
研究概要 |
本研究の目的は、超微細加工(MEMS)技術によるマイクロサイズの構造体と脂質二分子膜・膜タンパク質が構築するナノサイズの構造体を融合させることにより、膜タンパク質機能解析システムを構築する。生体分子は自発的な集合により、人為的には不可能な精緻さ・優美さでナノ構造を創る。特に脂質膜内に形成される膜タンパク質チャネルは、小分子の自己集合により数Åから数nmの超微小孔をいとも簡単に形成する。本研究は、これまでMEMS技術による創薬支援の膜タンパクチップ作製の技術基盤を応用することにより、生体分子が自己集合して作るナノチャネルをマイクロ構造中に組み込むことで融合マテリアルを創製する。またMEMSやマイクロ流体技術を応用し、前期公募研究から継続している領域内共同研究を推進する。本年度は液滴接触法を改良し、2週間以上安定に脂質膜を保持可能な形成法を確立し、その再現性の向上に取り組んだ。その結果脂質単分子膜を貼り合わせる・引き剥がすを繰り返すことが可能なシステムを用い、再現性の高い膜形成法を確立した。また新学術の領域内共同研究により、マクロ流路デバイスをバイオ・ケミカルの実験系に適用するためのシステム構築に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画のうち、安定性の高い脂質二分子膜を再現よく構築する方法を確立できた。脂質二分子膜を脂質単分子膜に分離し、再度貼り合わせることにより再現性の高い脂質膜形成を可能とした。また領域内共同研究として、A01からA03班までのすべての班の班員と共同研究を推進している。共同研究の内容は、主に化学反応やバイオアッセイを行うためのマイクロ流路デバイスを設計、供給し効率的な実験系を確立することである。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、本年度開発してきた迅速に形成可能な脂質膜プラットフォームを用い、一分子計測可能なナノポアを形成するチャネル膜タンパク質を用いた測定系に展開する。平面脂質膜中に1~30 nm程度のナノポアを形成するチャネル膜タンパク質を流れるイオン電流を観測することで、一分子の輸送挙動を定量的に観察できる。 また共同研究に関して、本年度がプロジェクトの最終年度であるためそれぞれの共同研究を総括し、成果をアウトプットしていく予定である。
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