研究領域 | プラズマ医療科学の創成 |
研究課題/領域番号 |
25108506
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
浜口 智志 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60301826)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | プラズマ医療 / 大気圧プラズマ / プラズマ液体相互作用 / 反応拡散方程式 |
研究概要 |
プラズマ医療においては、通常、低温大気圧プラズマを生体に直接的、あるいは、間接的に照射し、滅菌、止血、創傷治療などをおこなう。この際、一般に、プラズマと生体組織(細胞等)の間には、必ず、血液やリンパ液などの液体が介在するため、生体と直接相互作用するのは、プラズマやその周囲の気体成分ではなく、それらによって液体中に生成された反応活性種であると考えられている。本研究では、プラズマ照射によって液中に生成されると考えらえる化学種50種程度、それに関与する化学反応式130程度をめやすに、それらの化学反応を連立して解く非線形反応速度方程式・反応拡散方程式の数値シミュレーションを用いることにより、プラズマ照射によって、液中に生成される各種イオンや水和電子、および、その他の活性種(ROS・RNS)等の密度分布の時間発展をもとめ、プラズマのパラメータと、生体反応の間をつなぐ化学反応系を明らかにし、物質科学の観点から、プラズマ医療の学術的基礎を構築することを目的とする。平成25年度(初年度)は、プラズマ照射によって液中に生成される活性種(ROS・RNS)を高精度で予測するグローバルモデル・シミュレーションコードの開発、および、大気圧プラズマ照射により生成される液中ラジカル計測を用いたシミュレーション・コードの妥当性検証をおこない、さらに、活性種輸送を高精度で予測する反応拡散方程式シミュレーションコードの開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度(初年度)は、プラズマ照射によって液中に生成される活性種(ROS・RNS)を高精度で予測するグローバルモデル・シミュレーションコードの開発、および、大気圧プラズマ照射により生成される液中ラジカル計測を用いたシミュレーション・コードの妥当性検証をおこなう予定であったが、それは計画通りに進展したうえ、当初、平成26年度に行う予定であった1次元反応拡散方程式シミュレーションコードの開発も行い、精度よく輸送シミュレーションを行う環境を整えることが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究において、反応活性種の生成媒体としての液体は、純水を対象として、プラズマ照射によって純水中に生成される反応活性種の時間発展シミュレーションコードの開発とそのコードを用いたプラズマ・溶液系のシミュレーションを行う。また、必要に応じて、プラズマ照射実験による水中活性種の化学的同定と細胞増殖試験によるシミュレーション結果の検証を行う。シミュレーションに必要な反応速度定数・拡散係数は文献によるばらつ きが大きなものもあり、これらのデータベースの検証も本研究のテーマの一つである。特に、本年度においては、活性種輸送を高精度で予測する1次元反応拡散方程式シミュレーションコードの並列計算による高速化をすする。さらに、1年目に開発したゼロ次元グローバルモデル次元シミュレーションコードにより、より複雑なプラズマの放電条件下での液中ラジカル生成を調べ、かつ、その結果を、細胞増殖試験結果と比較する。シミュレーションで用いる反応速度定数は、文献によって大きなばらつきがあるものもあるため、実験結果との比較検証を行い、反応速度定数データの妥当性も議論する。
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