公募研究
近年、プラズマ照射の医療への応用が急速に進み、有為な効果が示されているものの、その効果を証明するメカニズムについては未解明な部分が多い。プラズマ照射法としては細胞培養系に直接プラズマを照射する方法(直接法)と、別にプラズマ照射した培地を細胞に負荷する間接法があるが、より安全性が高く適応が広いと考えられる間接法を用いて、がん細胞に対するアポトーシス誘導を検証するとともに、そのメカニズムについて詳細に検討し以下の結果を得た。プラズマを照射したDMEM培地(PAM)には照射時間依存的に培地内のH2O2量が蓄積し、ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞A549細胞に負荷した場合の細胞死誘導活性が増大した。その活性はcatalase、ピルビン酸、その他の抗酸化物質の添加により抑制された。PAM処理によりA549細胞のミトコンドリア膜電位の低下(JC-1染色)、poly(ADP-ribose) polymerase-1(PARP-1)の活性化とそれに伴うNAD+、ATPの枯渇が誘導された。また、PARP-1活性化はadenine 5’-diphosphoribose(ADPR)蓄積とそれにより引き起こされるtransient receptor potential-melastatin 2(TRPM2)活性化、さらにカルシウム流入を誘導し、最終的に細胞を死に至らしめることが明らかになった。一方、caspase-3の活性化や細胞死に対するcaspase阻害剤の抑制作用が認められなかったこと、ミトコンドリアからのチトクロムCの遊離が確認されなかったことから、PAMによる細胞死はcaspase非依存性アポトーシスに依ることが示唆された。一方、弱いプラズマ照射条件にて調製したmild PAMによるストレス抵抗性獲得についても、ヒト線維芽細胞を用いた実験からその活性が確認され、メカニズムとしてhemeoxygenase-1(HO-1)の誘導が確認された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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