研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
25108706
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
勝山 陽平 東京大学, 農学生命科学研究科, 講師 (50646437)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生合成 / 天然物 / ポリケタイド / 非リボソームペプチド |
研究概要 |
化合物1生合成遺伝子を持つBACをS. albusに形質転換した結果、S. albusが化合物1を生産する事を確認した。また、培地条件を検討し、ISP2培地において組換えS. albusが十分量の化合物2を生産する事を見出した。また、最小培地においては生産量が減少する事が明らかとなった。 化合物2生産株である、JE-08の効率的な破壊系の構築に成功した。これにより、化合物2の生合成を担うと予想される遺伝子破壊株の取得を可能にした。その結果、いくつかの遺伝子破壊株で中間体と思われる化合物の蓄積が見られた。これらの化合物の単離同定を試みたが、化合物が不安定であったため、単離同定出来なかった。そこで、それらの化合物の分子量から構造を推定し、全体の生合成経路を推定した。化合物2の生合成に特に重要と考えられる酵素を二つ選定し、大腸菌で異種発現させた結果、可溶性タンパク質を得る事が出来た。 化合物3の生合成遺伝子のうち、特に重要なα-メチルセリン合成酵素、非リボソーム依存ペプチド合成酵素のin vitro解析を行った。前者に関しては組換えタンパク質の解析を行い、α-メチルセリンの合成を担っている可能性を示唆した。また、非リボソーム依存ペプチド合成酵素の基質特異性を解析する事で生合成経路全体を予想する事に成功した。また、ペプチド合成に必要な非リボソーム依存ペプチド合成酵素全てと基質を試験管内で反応させた結果、反応が進行し、化合物3のアナログが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化合物1の解析においては、生合成遺伝子に変異を入れる作業がやや難航しているため、実験の進行が当初の計画よりも遅れている。 化合物2では当初の計画通り、JE-08株の遺伝子組換え系の構築に成功し、全ての生合成遺伝子の破壊株の作製に成功した。中間体の構造決定にはいたらなかったが、生合成経路の予測には成功した。また、試験管内での解析用のタンパク質の発現に成功している。 化合物3では生合成に重要な酵素の解析を行う事に成功した。また、この実験では当初困難だと考えていた、非リボソーム依存ペプチド合成酵素の全長タンパク質の活性型での発現に成功した。 一部、遅れが出ているが、一部の実験で予想を上回る結果が得られたため、おおむね順調に進んでいるとした。
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今後の研究の推進方策 |
化合物1の研究に関しては、まず、遺伝子破壊株の構築を優先する。破壊株の構築が難航している原因はBACの正確な配列を把握していないためであると考えられるので、配列の同定を行う。 化合物2に関しては生合成中間体の同定をまず行う。化合物が不安定なため、全ての化合物の構造決定は難しいが、一部の安定な中間体の単離構造決定を行う。また、5員環の形成が生合成経路において最も興味深い反応であると考えられるので、その反応の試験管内での再構成を行う。その後、ホモロジーモデリングを通して部位特異的変異導入を試みる。 化合物3に関しては、試験管内で全反応の再構成に成功したため、その反応系を用いて、酵素の反応機構のより詳細な解析を行う。酵素の部位特異的変異導入を行い、酵素活性に重要なアミノ酸を同定する。また、予定通り、異種発現を用いた類縁体の生産を試みる。
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