公募研究
アーキアが持つイソプレノイド代謝酵素を利用し、大腸菌において新奇イソプレノイド生合成マシナリーを構築することを目的とした研究を行った。主要な結果は以下の通りである。1)メタン生成アーキアMethanosarcina acetivoransに存在するフィトエンデサチュラーゼのホモログが、アーキア膜脂質前駆体を含む、ゲラニルゲラニル基を有する化合物群を基質とするゲラニルゲラニルレダクターゼ(GGR)であることを見出した。同酵素は既知のGGRとは相同性を持たず、さらに、ゲラニルゲラニル基中の3-4個の二重結合を還元する既知GGRと異なり、ω末端の二重結合のみを選択的に還元する新奇酵素であった。2)M. acetivoransの遺伝子を複数大腸菌中で発現させることで、水酸化イソプレノイド鎖を含むアーキア型脂質を与える生合成マシナリーの構築に成功した。構造解析の結果、同脂質中では一方のプレニル基の3位に水酸基が存在していることが分かった。この結果より、同脂質がMethanosarcina属アーキアとその近縁種に特異的なヒドロキシアーキオール脂質の前駆体となることが推察された。3)好熱性アーキアThermoplasma acidophilumにおいて、既知のメバロン酸経路のいずれとも異なる新規なメバロン酸経路が利用されていることを実証し、同経路の酵素としてメバロン酸3-キナーゼの同定に成功した。4)好熱性アーキアSulfolobus solfataricus由来のジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼの構造解析に成功した。同構造中に存在するジスルフィド結合が、S. solfataricus菌体内でも形成されており、さらに同酵素の耐熱性を向上させることを示した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (9件) 図書 (1件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 289 ページ: 15957-15967
10.1074/jbc.M114.562686
FEBS Journal
巻: 281 ページ: 3165-3176
10.1111/febs.12851