研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
25108723
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
明石 智義 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (80328707)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生合成 / 植物 / フラボノイド / ファイトアレキシン |
研究概要 |
フラボノイド生合成に関わる新規の酵素遺伝子を,機能発現スクリーニングや次世代シーケンス情報を利用して同定した. 多くのマメ科植物は(-)-型の立体配置を持つプテロカルパンを生産するが,ラッカセイ,エンジュなど一部のマメ科は例外的に(+)-プテロカルパンを生産する.(-)-プテロカルパン生合成系酵素遺伝子はこれまでの研究ですべて同定したが,(+)-プテロカルパンの生合成機構は不明である,ラッカセイ,エンジュの転写物について次世代シーケンサーを用いた解析を行い,(+)-プテロカルパンの生成に関わると予想される酵素遺伝子を選抜した.これらを大腸菌で発現させて,触媒機能を確認した.現在詳細な機能解析を行っている. 植物P450は膜結合性の酵素である.フラボノイドの生合成に関わる植物P450を大腸菌で発現させる系を確立した.これまでにイソフラボノイド合成酵素,フラボン合成酵素,イソフラボン水酸化酵素,プテロカルパン水酸化酵素の発現に成功した.また生合成系の複数の酵素遺伝子を大腸菌で同時に発現させ,安価な化合物であるイソフラボンからプテロカルパン類を生産させた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は複数マメ科植物からフラボノイド生合成に関わる新規の生合成酵素遺伝子を数種クローニングした.新規酵素遺伝子のスクリーニングは,計画通り進んでおり,特に問題はない.またアヤメ属植物の新規のフラボノイド生合成酵素遺伝子も数種取得した. 大腸菌発現系を用いたフラボノイド合成系P450の発現では,一部活性の見られなかったものが存在したが,4種のP450を発現させることができた.また生合成系の複数の酵素遺伝子を大腸菌で同時に発現させて活性フラボノイドを生産させる研究は当初の目的を達成した.この研究では,中間体と思われる化合物が複数存在し,構造解析を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,既に取得した酵素遺伝子産物について生化学的解析(カイネティクス,基質特異性の検討,基質と生成物の立体化学の解析など)を行う.プラスチドや液胞に存在すると予想される酵素についてはGFPを用いて細胞内局在を解析する.また取得した遺伝子の発現を調べ,植物での役割について考察する.同時に新規の酵素遺伝子のスクリーニングを継続して行う. 組換え微生物を用いた活性フラボノイド生産の研究では,ベクターの検討や培養条件の検討を行い,生産量の増大を試みる.また新しく取得した遺伝子も順次導入し,生成物を解析する.
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