研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
25108726
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
高橋 俊二 独立行政法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, ユニットリーダー (30311608)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 放線菌 / テルペノイド / 生合成プラットフォーム / 経路特異的転写因子 / 二次代謝産物 / ゲノムスケールモデル / メタボローム |
研究概要 |
本研究は、非メバロン酸経路とメバロン酸経路の両方を駆動する放線菌 (Streptomyces reveromyceticus)に着目して、経路特異的転写因子の活用により生合成遺伝子群を一括発現できるテルペノイド生合成プラットフォームを構築することを目的とする。 S. reveromyceticusはリベロマイシンA (RM-A)を高生産するが、RM-A生合成遺伝子破壊株(SR1)ではRM類を一切生産せず、銅錯体化合物が主代謝産物となる。また、本菌の休眠遺伝子クラスターより見出した経路特異的転写因子(Fur22)にaphIIプロモーターを連結して恒常発現させることによって、これまで生産性を示さなかったフラキノシン(FQ)類を高生産させることが出来る。Fur22機能を最大限に発揮させるためには様々なプロモーターの検討が重要であることから、RNA-seq解析によりRM生産菌の内生プロモーターを選択し、fur22遺伝子の恒常発現を検討した。複数の遺伝子の制御領域を用いてfur22プロモーター交換を行った結果、高発現の内生プロモーター配列を用いた場合にはFQ類の高生産を達成することは困難であった。一方、リベロマイシン生産菌にのみ存在する未知遺伝子プロモーターの中にはaphIIプロモーターと同様にFQ類を高生産出来るものも見出した。以上のことから、内生プロモーターの検討は今後も重要な課題であることが明らかになった。また、本研究の過程で、SR1株より銅錯体化合物の生産が全く認められない形質転換体が得られたことから、当初計画したA33853生合成遺伝子破壊の検討は行わなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テルペノイド化合物生産に向けた生合成経路の増強のために、経路特異的転写制御因子の内生プロモーターの選定を行い、FQ類の高生産を達成することが出来た。特定のプロモーターを使用した場合にはA33853の生産が検出されないため、当初計画していたA33853生合成遺伝子クラスターの破壊を行わなかった。また、RNA-seq解析とプロモーター検討を先行した為、FQ生合成クラスター破壊は次年度となるが、全体としては順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、一次・二次代謝生合成遺伝子群を効率的に制御するために、fur22発現に最適な内生プロモーターの選択を行う。その後、Fur22が制御するプロモーター(PMVA)下流に目的の二次代謝生合成遺伝子群を導入することにより、メバロン酸生合成、テルペノイド二次代謝生合成に関わる全ての遺伝子を同調発現させ、化合物生産効率化を図る。また、昨年度行わなかったSR1株のFQ生合成遺伝子クラスター破壊を行い、前駆体・還元力・エネルギーをテルペノイド生合成経路に集約する。さらに、ゲノムスケールモデルを構築し、C13グルコースを用いた代謝フラックス解析や一次代謝のメタボローム解析を行なうことによって、放線菌の一次代謝改変を検討する。
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