研究領域 | 感応性化学種が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
25109520
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
村井 利昭 岐阜大学, 工学部, 教授 (70166239)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | セレノアミド / セレノカルバモイルリチウム / セレノアミドジアニオン |
研究実績の概要 |
本研究では、カルボニル同族体であるセレノカルボニル (C=Se)基に由来する含セレン感応性化学種から独創的な機能性物質群の創造を貢献目標として、C=O基のC=Se基への直接変換反応の開拓、C=Se基から導かれる活性化学種の性状の解明と幅広く活用できる手法の開拓を行った。その結果、セレノホルムアミドから発生できるセレノカルバモイルリチウムを鍵とするα-ヒドロキシ、あるいはα-オキソセレノアミドの合成を達成した。一方、二級セレノアミドから発生させることができるセレノアミドジアニオンを鍵とする、前例のない5-アミノセレナゾールを導くことができ、その光物性、電気特性も解明した。 ・セレノカルバモイルリチウムのカルボニル化合物への付加 セレノホルムアミド1に対して、LDAを-78 °Cで加え、セレノカルバモイルリチウム2を発生させ、そこにアルデヒドあるいはケトンを加えたところ、付加生成物を中程度の収率で与えた。またその配座をX線構造解析により明らかにした。 ・セレノアミドジアニオンのチオおよびセレノホルムアミドへの付加 二級セレノアミドに対してBuLiを加え、セレノアミドジアニオンを発生させる。そこにチオあるいはセレノホルムアミドを加えしばらく撹拌した後、ヨウ素酸化を行い、5-アミノ2-セレナゾリンを得た。単離したをさらにヨウ素で酸化したところ5-アミノセレナゾールが低収率から高収率で得られた。X-線構造解析の結果、化合物の2位および4位のフェニル基は、セレナゾリル環とほぼ同じ面に位置していたが、5位アミノ基は、セレナゾリル環より、大きくねじれていた。また窒素上がフェニル基のは、緑色蛍光発光を示したが、対応するチアゾールと比較した場合の蛍光量子収率は低下していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セレノカルボニルα位に、水酸基、カルボニル基を組込んだ化合物を、調製し、その構造ならびに物性の解明を目的として、研究を開始した。その結果、エントリーとしては限定的であったものの、基本的なデータを得ることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
セレノカルボニルの化学をさらに発展させるためには、よく知られた環状カルボニル化合物であるラクトン、ラクタム、α-ピロンなどのC=O基をC=Se基に変換させ、それらの構造、性状を解明する必要がある。
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