研究実績の概要 |
α,β-不飽和スルホンは有機合成化学上有用な化合物であり、その立体選択的な合成法の確立が望まれているが、一般性のあるシス体の合成法は確立されていない。我々はケイ素元素の特徴を利用するPeterson反応による合成を計画した。しかし、通常のPeterson試薬ではオレフィンの立体選択性はほとんど得られないので、ケイ素原子上にアルコキシ基を導入することでキレーションにより立体選択性を制御する計画をたて、Ph2(tBuO)Si基をもつスルホン試薬を合成した。種々のアルデヒドとの反応をLi塩基を用いて行った所、ベンズアルデヒドおよびα位が2級のアルデヒドでは90:10~95:5のシス選択性でα,β-不飽和スルホンが得られることが分かった。α位が1級、3級では2:1~4:1程度のシス選択性であった。この選択性を改善するためにキレーション能力をさらに高める試みとしてケイ素上にアルコキシアルキルオキシ基を導入した試薬の開発を行った。種々のアルデヒドとの反応を行った所、シス選択性を改善することに成功した。
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