研究領域 | 感応性化学種が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
25109524
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
俣野 善博 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40231592)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ジアザポルフィリン / 二量体 / 増感剤 / 遷移金属触媒 / 近赤外光 / 吸収特性 / 電気化学特性 / 電子スピン |
研究概要 |
本年度は、近赤外光に対して高い感応性を持つジアザポルフィリン増感剤の開発を見据えて、期間内に主に次の二つの課題に取り組んだ。(i)近赤外領域に強い吸収帯を持つ三種類のジアザポルフィリン二量体の合成、および、(ii)課題(i)で合成した二量体の光物性および電気化学特性に対する架橋構造の影響の解明。まず、β無置換ジアザポルフィリン-ニッケル錯体、銅錯体、およびフリーベース体を既知の方法により合成し、β位の位置選択的な臭素化により対応するブロモ体へと変換した。次いで、遷移金属触媒を用いた還元的カップリング反応、薗頭反応、グレーサーカップリング反応を組み合わせて、直接連結型二量体、アセチレン架橋型二量体、ブタジイン架橋型二量体を系統的に構築し、X線結晶構造解析、NMRスペクトル・吸収スペクトル・酸化還元電位・ESRスペクトルの測定により、合成したπ系の構造、吸収特性、および電気化学特性を調べた。その結果、ジアザポルフィリン環を直接連結することにより吸収帯の大幅な長波長化が達成できることや、銅錯体において電子スピンの非局在化が効率よく起こることが明らかとなった。さらに、スティレ反応を利用してピロールおよびチオフェン架橋型ジアザポルフィリン二量体を合成することにも成功し、ヘテロール架橋によりπ-π*遷移に基づく吸収帯が800nmを超える近赤外領域に達することを明らかにした。得られた知見は、近赤外光に対して高い感応性を持つ医療用増感剤や太陽電池用増感剤を開発するうえで、ジアザポルフィリン二量体が有力な候補化合物群となることを示すものであり、その学術的な意義は深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は近赤外領域に強い吸収帯を持つ水溶性ジアザポルフィリン誘導体の合成も計画していたが、ジアザポルフィリン二量体の合成法の確立と構造-物性相関の解明を優先したため、期間内に検討するには至っていない。しかしながら、今回さまざまな二量体の合成法を確立できたので、研究計画全体としては順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、親水性官能基をジアザポルフィリン環外周部へ導入することにより、水溶性を持つジアザポルフィリン二量体を合成し、その諸物性および一重項酸素発生効率を評価していく。また、二量体の励起状態における光ダイナミクスを詳細に調べることで、ジアザポルフィリン増感剤の特徴を明らかにする。
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