研究領域 | 感応性化学種が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
25109527
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森田 靖 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70230133)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 安定中性ラジカル / 電子スピン非局在性 / ヘリセン / キラリティー / キラル有機ラジカル |
研究概要 |
近年、分子磁性体研究の新しい展開として、光学活性な安定有機ラジカルを基盤としたキラル磁性体に注目が集まっており、これまでにいくつかの安定なキラル中性ラジカルが報告されている。それらは、いずれも局在型の電子スピン構造を有するニトロキシド型中性ラジカルを基盤としており、不斉中心は電子スピンが存在するN-O基とは離れた部位に存在している。本研究者は、フェナレニル骨格を基盤とした平面型の縮合多環炭化水素ラジカル(「開殻グラフェンフラグメント」)についての研究を長年にわたり行っており、空気中でも安定な有機ラジカルの電子スピン非局在性に基づく様々な新しい物性・機能を実現してきた。この研究から得られた知見を基に、近年、ヘリセン型構造を有するπ拡張型ジアザフェナレニル中性ラジカルを設計・合成し、P, M体のラセミ体として単離し、キラルカラムを用いたHPLCを用いて光学活性体に分割することができた。 本研究では、平面π電子系の安定中性ラジカルにヘリセン型のキラリティを導入した新たな安定有機中性ラジカルを合成し、電子スピン特性と光学特性の二つを併せ持つ「新物性創出のための感応性化学種」の開発を進めている。 H25年度は、6-オキソフェナレノキシル(6OPO)をヘリセン骨格に組み込んだ有機中性ラジカルを設計・合成した。6OPOは、本研究者が独自に設計・合成した空気中でも安定な中性ラジカルであることから、独創性および新規性の高い分子システムである。この中性ラジカルをラセミ体として安定に単離し、各種測定法を用いて、その分子構造や電子スピン構造および光学的性質を解明することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した[6]ヘリセン型のキラル有機中性ラジカルは合成途中段階であるが、その部分骨格である[4]ヘリセン構造に独自に開発した6-オキソフェナレノキシルラジカルを組み込んだ新規なキラル中性ラジカルの合成・単離に成功した。今後は、このラジカルを用いて非局在化した電子スピン特性と光学特性の複合的な物性発現を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
すでに合成した[4]ヘリセン構造を有する6-オキソフェナレノキシルラジカルを用いて非局在化した電子スピン特性と光学特性の複合的な物性発現を目指す。さらに、[6]ヘリセン構造を有する誘導体の合成を進めていく。
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