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2013 年度 実績報告書

タンパク質構造の二面性に着目した生体分子の反応性制御機構の検証

公募研究

研究領域感応性化学種が拓く新物質科学
研究課題/領域番号 25109528
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

松尾 貴史  奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (50432521)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード酵素反応 / 立体構造変化 / 機能スイッチング
研究概要

タンパク質・酵素のユニークな機能発現機序を十分に理解し、人工酵素の創成へ展開するためには、タンパク質高次構造が生みだす「静的効果」と「動的効果」の二面性を考慮する必要がある。このうち、「動的効果」の検証としては、距離・配向両方に依存的な発光性感応プローブ分子を用い、機能発現時に大きな構造変化を示す酵素の素反応過程での構造の違いを検出できれば、酵素立体構造の変化と酵素触媒サイクルの素反応過程をリンクさせた反応機構が提唱できる。本年度は、基質・リガンド結合に伴う構造変化をトリガーとする機能スイッチングシステムの構築を行った。これは、タンパク質の構造的特徴のうち、「動的な効果」にフォーカスしたものである。ADPの結合に伴い大きな構造変化をおこすアデニル酸キナーゼのAla55およびVal169をCysに変換した変異体を作成し、このアミノ酸残基に、ピレン分子をコンジュゲートした。この化学修飾酵素は、酵素触媒サイクルに呼応した「モノマー蛍光/エキシマー蛍光のスイッチング」を実現できる機能性タンパク質となることが示された。また、この蛍光特性の変化は、酵素の立体構造変化に対する基質濃度依存性と一致しており、酵素が本来もつ機能発現のための構造変化を忠実に反映している。したがって、酵素触媒サイクルの素反応過程を可視化する有益な測定系として用いることができると考えられる。さらに、コンジュゲートする分子をフェナントリン銅錯体とすることにより、酵素の立体構造の変化による加水分解的DNA切断のスイッチングにも応用できることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

酵素分子の構造的特徴のうち、「動的効果」を巧みに利用して、ピレン蛍光特性の機能スイッチングの構築を行い、酵素触媒サイクルとリンクした議論がなされており、研究目的の1つの課題が十分に検討されている。

今後の研究の推進方策

26年度は、もう一つの検討課題である「タンパク質構造の静的構造効果」に着目して、特に、配位元素に着目した人工金属タンパク質の構築を行い、触媒反応への応用を検討する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Reversible Switching of Fluorophore Property Based on Intrinsic Conformational Transition of Adenylate Kinase during Its Catalytic Cycle2013

    • 著者名/発表者名
      Akira Fujii, Shun Hirota, Takashi Matsuo
    • 雑誌名

      Bioconjugate Chemistry

      巻: 24 ページ: 1218-1225

    • DOI

      10.1021/bc400160m

    • 査読あり
  • [学会発表] アデニル酸キナーゼの構造変化に基づくπ系分子の発光特性スイッチングシステムの 構築2013

    • 著者名/発表者名
      藤井 亮、松尾 貴史、廣田 俊
    • 学会等名
      第7回バイオ関連化学シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      20130927-20130929
  • [備考] 松尾貴史ホームページ

    • URL

      http://mswebs.naist.jp/LABs/hirota/tmatsuo/matsuo_jpn.html

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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