研究実績の概要 |
車載用電源として高速充放電可能な蓄電デバイスに対するニーズが高まりつつあるが、高エネルギー密度と高出力密度を満足するシステムはこれまで報告されていない。高エネルギー用正極活物質として硫黄が注目さているが、電子伝導性がない事、硫黄イオンは電解液に溶出する事、が実用化の課題とさている。そこで本研究では嵩高い新規三座配位子を有する超原子価16族元素(S, Se)ラジカルの合成・単離に成功し、これらのラジカルが前駆体のアニオンとの間でLiに対して4V付近の高い電位で可逆的な酸化・還元反応を起こす事を見出してきた。そこで、これらをリチウムイオン電池の正極活物質とした電池を組み特性を評価した結果、共に40mAh/gの容量が得られ、電流密度12Cで50サイクル充放電を行った際の容量維持率は90%であった。また、1.2Cで行った際は75%に悪化し、評価レートがサイクル特性に影響を与えている事がわかった。
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